翠蓮悠璃様からのリクエスト~衝撃の事実(2‐3)~ | ななちのブログ

ななちのブログ

このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「…ダメですよ。無駄使いしないでって何回言わせるつもりですか?こういうドレスは、普段着になんて絶対使えないんですから、お仕事で着られたらそれで充分です。」

「うん。でも、とっても可愛いから……。俺の部屋で一緒にいる時に着るだけなら何も問題ないだろう……?」

「ダメです!!敦賀さんはお金に対して大雑把すぎますっ!!ドレスの購入なんてムダ遣いにもほどがありますっ!!」



 ベタベタイチャイチャと人目もはばからずくっついていた二人だが、京子ちゃんは眉を吊り上げ、怒りも顕わに彼の腕から抜け出す。



「俺が稼いだお金を俺がどう使おうと勝手だろう?」

「えぇ、もちろんです!!敦賀さんが自分のために投資されるのでしたら、家具を買おうが、衣服を買おうが、食材を買おうが文句は言いません!!でも、今おっしゃっているのは……」

「それは仕方ないだろう?俺は自分にお金を使うより、君に使ったほうが楽しいんだから。」

「っ……!!でっ、ですが……っ!!」



 かぁっと全身を赤くさせたのは…。実は、京子ちゃんだけではない。彼の砂糖も裸足で逃げ出す甘々発言の連発で、女性陣は全滅状態だ。

それにしても。…さすがゴージャスター。私生活のお金の使い方から豪快なのがよくよく分かった発言の数々だが…それらが総て一人の少女のためだけだなんて……。

 四方八方から京子ちゃんに注がれるのは羨望の眼差し。…そりゃそうだよな。極上の男にこれだけ尽くされるだなんて、女冥利につきる。



 ここで「当然よ」とばかりに微笑んでみせる京子ちゃんじゃないから可愛いんだよな。必死になって敦賀蓮の申し出を拒否しようとする京子ちゃん。そんな彼女に…



「それとも、何?俺が役者(しごと)以外で感じることができる唯一の楽しみを……」

「っ!!」

「俺から、取り上げるの…………?」



 ぽつり、と最後には掠れた声で呟かれた言葉。そして、じっと京子ちゃんを見つめる敦賀蓮の瞳……。



 …じっ……と。

そう、それは本当に悲しそうな表情で……じ~~~~~~~っと、京子ちゃんを見つめている……。



 普段は穏やかで優しげな微笑みを浮かべる切れ長の瞳。それは、ドラマで見る時には時にクールに、時に激しい焔を燃やす……。

だが!!そんな魅力的な瞳が今っ!!…何やらうるうると潤んでいるように見える……。



なぜだっ!!あの華麗にして優美、今最も艶やかな男と称されるゴージャスターの男の後ろに!!段ボールの中で拾ってくれる人を求める子犬が見えるのはっ!!



「なっ…なっ、何も…かっ、完全にやめてほしいなんて、言ってないんです……」



 京子ちゃんは、そんな哀しげな表情の子犬(本体は規格外の身長を持つ大男)の様子におよおよと目を泳がせ始めた。

 そうだよねっ!!そりゃそうだっ!!誰がこんな『敦賀蓮』の顔を想像する!?



「そっ、その…限度を、わきまえて欲しいと申しますかっ!!」

「…………。」



 キョーコちゃんが焦りながらも敦賀蓮を宥めようとしている。…だが、目の前の190センチメートルを超える大男は、相変わらず捨てられた子犬のような瞳を、逸らすことなくキョーコちゃんに向け続ける。



 …そのひたすらに訴える目が…っ!睨まれている以上に……っ!!無視できないっ!!!



「~~~~っ!!こっ、今回だって、こんなドレスとかじゃなかったら嬉しいんですっ!!」



―――もういいじゃん!!相手はゴージャスターなんだし、思う存分、『役者(しごと)以外で感じることができる唯一の楽しみ』を与えてあげればいいよっ!!―――



 思わずそう叫びそうになった時。キョーコちゃんが真っ赤な顔をしながら懸命に訴えた。



「…わっ…私だって、敦賀さんに何か買ってもらえるの、嬉しんです。…敦賀さんの前で、オシャレして、一緒にいられるのが本当はとっても楽しいんです……。」



 そしてその後。少し俯き加減の遠慮気味に言ったキョーコちゃん。大きな瞳を上目使いにして敦賀蓮を見つめる、少し照れくさそうな表情。

 ……なるほど。俺、敦賀蓮の気持ちが分かってしまったよ。こんな可愛い存在がいたら、ちょっとは贅沢させたくなるっていうか…。貢ぎたくなるというか…。それで喜んだ顔なんか見られた日には本当、それだけで満足っていうか……。



 知らなかった。純情可憐っていうのも、充分悪女の要素を持っているんだな。



「あっ、あの……。つ、敦賀さん……?」

「……うん。今度、絶対買い物に行こうね?約束だよ……。」



 それは『芸能界1イイ男』『抱かれたい男№1』の業界トップの俳優殿も同じだったようで。再び少女をその長い腕の中に囲うと、宝物を包み込むように優しく抱きしめた。



「あの。…本当に、無駄使いはしないでくださいね?」

「もちろんだよ。…約束する。」



 その敦賀蓮の言葉に、ホッと溜息をつき、大人しく抱きしめられる京子ちゃん。

 …でもね?京子ちゃん。君、多分俺達(庶民)側の人間だから分かってないと思うけれど……。

 彼は君に数百点の衣服や鞄などの小物、靴からアクセサリー等々……。そんなものを贈ることを『ムダ遣い』とは絶対に考えないと思うよ。

 だって相手は、月に軽く数百万、下手したら数千万は稼ぐだろう、ゴージャスターなんだからね……。





web拍手 by FC2