「いたずらをしかけてきた悪い子に、お仕置きをして何が悪いの?」
「!?だからって…!!」
「うん。まぁ、こういう喧嘩も楽しいんだけれどね。俺としては、今日こそ決着をつけたい。…君に寂しい想いはさせたくないし、俺もこれ以上は限界だから。」
いつも通りの言い合いになりそうなのを止めて。…今日こそは、今までの関係に終止符を打つために、俺は彼女と向き合う。
「だから…最上さん。まずは君のファーストキスを、俺がもらってもいいかな?」
「ふぇ?」
気の抜けそうな返事をする彼女。…よく分かっていないこの子には申し訳ないけれど、男としては最高のシチュエーションを彼女自身が用意してくれていたので、それを利用して少女をソファに押し倒し、その上に覆い被さった。
「明日から、しばらく会えないから…。ゆっくり『君』を充電させて?それで君の『いたずら』は全部許してあげるから。」
―――充分に『キョーコちゃん』の栄養補給、するんだぞ?―――
俺のお節介やきのマネージャーは、2週間前。彼女を俺の下へ派遣する際に、にやりと笑って言ったものだった。
そう。俺に必要なのは、彼女の手料理じゃない。俺に必要なのは、『最上キョーコ』自身。
展開についていけない純情乙女に、俺はにっこりと笑ってみせる。途端にカチンと固まった彼女は、可愛らしかった。
いつもなら、ここで逃がしてあげるのだけれど、君の気持ちを知った以上、俺は我慢しない。
俺はニヤリと意識的に笑って、彼女を抱く腕に力を込めた。そして、未だ大きな瞳を開けて俺を見つめる少女に顔を寄せ…。
「愛しているよ。…キョーコちゃん。」
ずっと。
ずっと伝えたかった言葉を口にした。
そして、彼女の『ファースト・キス』を手に入れるべく…彼女が触れた時よりももっと甘く、もっと深く、震える少女の唇を塞いだ。
(「いたずら。」side蓮FIN)