「うえぇ~~~ん!!モ~~~~子さ~~~ん!!」
「全く、こんな大騒ぎにしちゃって!!モ~~~!!あんた、本当に変な男にばっかり好かれるんだから!!」
盛大に「モーモー」言いながら、『モー子さん』こと、キョーコの大親友の琴南さんが登場する。彼女は社長に会釈をした後、ヒズリ氏のように当然のごとく壇上へと上がってきた。
「モー子さん!!」
キョーコは、琴南さんの登場に茫然としていた俺とヒズリ氏の間をするりと華麗に抜け出して、登場した大親友に飛びついて行く。
そんな彼女の額に手をついて、飛びつかれることを防いだ琴南さんは、俺とヒズリ氏をギロリと睨んだ。
「……恋人や娘を好きだと思う気持ちは、大事なものだと私も思います。」
「「……はい……。」」
おもむろに口を開いた美しい少女は、どこか厳かに語りだした。俺とヒズリ氏は、なぜか姿勢を正し、冷や汗混じりに彼女の言葉を受ける。
「ですが、あなた方は…。」
眉間に皺を寄せ、琴南さんは彼女の気迫に押される俺達二人を睨みつけ、口を大きく開いた。
「重苦しい!!」
「「っ!!」
「暑苦しい!!!!」
「「~~っっ!!!!!!」
「そして何より……。」
彼女の大きく開けた口からは、言葉の矢がビュンビュンと俺とヒズリ氏に向けて射放たれる。それらは、左胸へ見事に突き刺さっていく。
そして琴南さんは最後に大きく息を吸い込むと…
「ウザい!!!!!!」
「「~~~っっ!!!!!!」」
止めの一言を発した。
「しっ、しかしだな、君……」
「何かご反論でも?」
鬼の金棒で殴られたかのような衝撃に、ぐったりとその場に崩れそうな俺とは対照的に、ヒズリ氏は琴南さんに反論に出た。
「私はキョーコとは血がつながっていないが、彼女のことを本当に娘のように想っている。来週の金曜日は、遠く離れた娘と久しぶりに会えると楽しみにしていたんだ。そんな私の想いは優先されてしかるべきだと思わないか?」
「何をバカなことを言っているんです!!俺がどれだけ苦労してキョーコを手に入れたと思っているんですか!?あなたもキョーコの親だと主張するのなら、彼女が心から愛する俺という存在に対してもっと寛容になるべきですし、親なら親らしくそっと娘の恋路を見守るべきです!!」
「はぁ!?親なら娘の恋人を見定め、相応しくないと思えばとことんまで邪魔をして当然だろう!?」
「っ!?あなたは本当に、一体俺の何が気に入らないって言うんですか!?」
「全てだ!!キョーコを欲しいと思う男なんざ、絶対気に食わん!!そんな男は私がこの世から抹消してやる!!」
「ほう、そうですか…。あなたがその気なら、俺だって死ぬ覚悟であなたに挑みますよ……?」
「モ~~~~~ッ!!ウザいって言ってんでしょうが、このバカ男どもが~~~~~!!」
三度訪れた俺とヒズリ氏、竜虎が相打つ…はずが、間に現れた鬼の金棒による攻撃に竜も虎も沈められてしまった……。