サマンサ様からのリクエスト~VSつるが(4‐1) | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「「「「「「「ぅえ~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!?????」」」」」」」

「「………………。」」

「はっはっはっはっ!!どうだ、驚いてくれたかな?諸君!!」



集められた報道関係者達の大絶叫と、社長の上機嫌な笑い声。…そんな耳が潰れそうなほどの大音量が響き渡るその場所で、俺はもはや考えることを放棄したい気持ちになった…。



 迎賓館に入ると、そこには多くの報道機関の人間がひしめきあっていた。彼らは社長の後に続いて入室してきた俺とキョーコに対し、『敦賀蓮だ…』『京子だ…』と小声で呟きはしたものの、騒ぎ立てるようなことはしなかった。フラッシュはたかれるものの、疎らなそれは、想像していたよりも何十倍も少ない数だった。

 事前の連絡がされていたわりには落ち着いていた会場内に、キョーコを守らなければという使命感を持っていた俺は、若干の物足りなさを感じていた。



「それでは。これより我が社の俳優、敦賀蓮とタレント京子の交際会見を行います。」



 そして、社長、俺、キョーコの順で(社長にしては)シンプルな会見場の席についた時。(なぜか)褐色の肌の社長の側近が司会席に立ち、あっさりと宣った一言。その声が響いた瞬間、場内はやけに静まり返り……。そして、その静けさが一瞬にして地を揺るがすほどの大絶叫へと変わってしまった。



 つまりは、誰ひとりとしてなぜ自分たちが集められたのかを全く理解していなかったんだな…。



「と、いうわけで。これから改めて我が社の看板俳優、敦賀蓮と我が社の爆弾娘、タレントの京子の交際会見を行う。質問ある奴は一人一つまでだ!!じゃんじゃんこいつらに質問しやがれ!!」

「…ばっ、爆弾娘……。」

「クスクス。まぁ、間違っていないよね……。」

「…敦賀さんっ!!…もうっ……」



 ざわつく場内は相変わらずだが、マイクの声が響き渡るぐらいには静まると、社長が実にイキイキとした表情で俺達の会見の開始を告げる。その紹介の言葉に、キョーコは心外だとばかりに社長を見たが、言い得て妙な言葉に、俺としては笑うしかない。笑いだした俺に、キョーコは真っ赤に頬を染めながら、俺を上目づかいに睨んでくる。…うん、そんな彼女もとても可愛い。



「え、え~~と…。すみません、朝川テレビの藤川です。質問、よろしいですか?」

「おう、言ってやれ。」

「はっ、はい…。あの、お二人はいつからのお付き合いですか?」



動揺が収まりきらない現場の中で、初めての質問が出た。



「一昨日からです。まだ日は浅いですが、真剣に交際をさせていただいています。」



さて、ここからが勝負。社長によって無理やり組まれた会見だとしても、利用しない手はない。やるとなったからには、少しでも俺達の関係を世間に認めてもらえるようにうまく立ち回らなくては…。



「一昨日…ですか!!」



 ざわり、と周囲が再び騒がしくなる。ここでやっと彼らも調子を取り戻し始めたのだろう。そこかしこから手が挙がる。



「白海出版の近藤です!!どちらから告白をされたんですか!?」

「俺からです。」

「敦賀さんからですか……!!」

「えぇ。随分前からアプローチはしていたんですがね。二日前にやっと俺の想いが伝わりまして。」

「つっ、敦賀さん!!」



 肩をすくめて言ってみせた俺に、キョーコは真っ赤になりながら俺の服の袖を引く。



「事実なんだから仕方がないだろう?」

「そっ、そんな!!私、敦賀さんからあっ、アプローチなんて受けた覚えはありません!!」

「え?そう?結構あからさまに色々していたんだけれどなぁ……。」



 相変わらず鈍い少女は、俺の言葉に動揺し、目を潤ませている。



「あの…!!黒泉新聞の北岡です!!お互いが惹かれたところを教えていただけますか?」



 可愛い少女の顔をずっと見ていたいが、今は会見中。そちらにばかり気を取られてはいられない。そう思い、俺は『敦賀蓮』の仮面を被る。



「俺は…、そうですね。優しくて、芯が強いところ、かな?」

「そういえば仰っていましたね!!好みの女性のタイプは、優しくて芯の強い子。それに『京女』という感じだ、と!!京子さんは京都出身ということですし、まさしく理想の女性ですね!!」

「えぇ、そうですね。」



 そういえば、彼女への想いを自覚した頃に受けたインタビューで、好みの女性のタイプを聞かれたことがある。デビューしてから聞かれるたびに答えた言葉は『優しくて、芯の強い子』だったけれど、それに『京女』がついたのは最近のことだ。



「それじゃあ、京子さんはいかがですか?」

「はっ、はい!!えっ…えっと…。」



 キョーコは、話を振られて肩に力を入れた。そして、チラリとこちらを見てくる。

 俺がにこりと笑うと、キョーコはふんにゃりと可愛らしく笑み崩れた。



「あの、…お仕事に対する真摯な姿勢とか、とにかく尊敬するところが多くって…。私の目標とさせていただいている方なんです!!一時は神だと思って信仰していたくらいなんです!!」

「…か、神…です、か……。」

「はい!!」



 きっぱりと答えた彼女。…うん。そんなことを思っているんだろうなぁと感じていた時は確かにあるよ…。あの時はある意味嫌われていた時より大変な状況だったな…。神聖化されてしまったら対象外もいいところだから。



「それに、ダメな私に対して、情け容赦なく一刀両断にばっさりと言葉の刀で斬りつけてくださるんです!!」

「……。…………。……………え?」

「それはもう、鋭利な刀でばっさりざっくり切れ味よく!!そういった容赦ないところも、とても素敵です!!」



 キラキラ瞳を輝かせながら語るキョーコは…。多分、俺を褒めてくれているのだろう。だが、『温厚紳士』の『敦賀蓮』のそんなサムライ・ソウルな一面など、誰ひとりとして知りはしない。反応が鈍くなり、動揺するのも当然だろう。



「…それに、お傍にいてくださるだけで私に勇気と自信を与えてくれるんです!!」



 最後に、えへへ…と頬を染めながら照れくさそうに笑う少女。幸せそうなその笑顔は、まさしくキューティーハニーで…。

 ……。……今日も絶対持って帰るぞ!!(←冷静さはどうした!!)

 

彼女の幸せそうな笑顔を見て、俺もとても幸せな気持ちになる。俺は、心からの笑顔を彼女に向けた。その瞬間に、数多のフラッシュの光が俺達の目を焼くが、そんなものは気にならない。五感全てで彼女だけを見つめる。…そんな、目の先の人物さえいたら他には何もいらないとさえ思っていた俺の耳に。



「ちょっと待った!!」



 ―――フラッシュのようには無視することができない人物の声が、飛び込んできた―――







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