はるりん様からのリクエスト~魔法使いの恋(15)~ | ななちのブログ

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馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「…結局花火、全然見られませんでした……。」

「ごめん、ごめん。」



 腕の中で「もごもご…」と何やら主張する彼女にやっと気付いて、腕を離したら花火はすっかり終わった後で。周囲にはもう誰もいなくなっていた。



「何しに来たんだかよくわかりません。」

「あはははは……。」



 頬を膨らまし、眉を吊り上げて怒る最上さん。…うん、でも俺にとっては意味のある時間だったよ。



「大体途中から、敦賀さんったらバカップルの役まで始めるし!!」

「…え?」

「そりゃ、あんなにもバカップルが周りにいたら、真似てみたくなるのが役者魂というものかもしれませんが……!!誰にでもあんな破廉恥なマネをしていたら、勘違いされても知りませんよ!?」



 「私だったからよかったものの…!!」と憤慨する彼女。そんな未だ『無防備全開』、『恋愛完全拒絶』の『天然記念物的乙女』に俺は……



「……はぁ~~~~~~……」

「っ!?えっ!?なっ、なんですか!?ダメ息ですか!?え、何がダメ!?」

「…あ~~…。先は長いなぁ……。」



 さすがラブミー部員第一号。『禁断の果実』を半分食べたくらいでは、どうやら効果がないようだ。



「…うん、でも。俺だってそれなりに『魔法』が使えるわけだし。」

「?何かいいました?」



 『コーン』は今でも彼女の涙を吸い取っている。それは、俺があの時かけた魔法の効力だよね?



―――どうか、泣かないで。笑っていて…―――



 だったら、君にかかっているその『恋のできない』呪いだって、俺の魔法で解けるかもしれない。



「来年こそは、ちゃんと花火を見ようって言ったんだよ。」

「!!??見られなかったのは、敦賀さんのせいですよ!?」

「うん。だから、責任をとって来年も花火大会にご一緒します。…来年こそは、花火を見よう。」



 笑顔でお誘いをかけると、彼女は俺を睨みつけた後、「嫌です!!」と言った。



「え?なんで?」

「敦賀さん、花火を見る邪魔ばっかりするから嫌です!!」



 そう言って、小走りに俺から離れた彼女。振られてへこんだ俺は、…『コーン』を抱きしめながら零した彼女の言葉を、知らない。



「…これ以上、『邪法』をかけられてたまるもんですか……!!私は、もう『恋』なんて絶対にしないんだから!!」

 

 さぁ、来年こそは、魔法使いから君の王子様へ。そして花火を見ながら君に魔法をかけよう。





永遠に解けない『恋の魔法』を。



(魔法使いの恋FIN)





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