密やかな想い~sideキョーコ(2)~ | ななちのブログ

ななちのブログ

このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

その後、泣き疲れて私は眠ってしまうのだけれど。目を覚ましたら、隣に敦賀さんが眠っていて。私がコーンを握りしめていた左手は、敦賀さんに強く握りこまれてしまっていた。

慌てた私が、「ひぇっ!?」と変な叫びを上げるのと、その声に敦賀さんが驚いて目を覚まし、お互い気まずい雰囲気になってしまった…。でも、社さんが呼び出しの電話をくれるまでの間、敦賀さんはずっと私の左手を握りしめてくれていた。まるで、絶対に離さないよ、傍にいるよと言ってくれているかのように。…まぁ、恐れ多い私の自己妄想なんだけれどね。




それでもその温かさは、私の『密やかな想い』を『秘められない想い』に変えるには十分すぎるほど温かくて。




その後の撮影で、調子を戻した敦賀さんは、その後、休憩に入るたびに『女の子が一人で歩き回るな』とか、『無防備に寝てしまうなんて、襲われたって文句は言えない』とか、延々と説教をしてくるのだけれど、それが少し前までの、傍にいることを許してくれていた敦賀さんの雰囲気に戻っていて。隣で『まぁまぁ。』と苦笑を零しながら宥める社さんも、いつも通り優しいお兄さんの顔をしていて。

私は、『すみません』と謝りながら、そのいつも通りの雰囲気が嬉しくて笑顔を浮かべてしまったので、『反省していない』とデコピンをされてしまった。




結構な衝撃を受けて涙目になった私に、敦賀さんは仕方がないな、と言うように肩をすくめ、苦笑しながら言ってくれた。

「だから、何かあったら一人にならずに、俺のところに来なさい。悲しみを吐きだす場所の一つに、俺を使ったらいいから。」




だから一人で泣かないで、と。かの敬愛する先輩は、不出来な後輩の私に言ってくれた。まるで、妹を甘やかす優しい年の離れたお兄ちゃんのように。




「…はい、ありがとうございます。」




私があなたに向ける想いと、あなたが私に向けてくれる想いは全然違うものだろうけれど、それでも私のために心配して、叱ってくれて、甘やかしてくれる。『傍にいてもいいんだよ』と、笑ってくれる。

本当に嬉しくて、でも、泣きたくなるほど切なくて。

その時の私の表情はどうなっていたかな?ちゃんと笑えていたらいいけれど。




(『密やかな想い』FIN





あとがき

 ひとまずこれにて『密やかな想い』シリーズ終了です。…おかしい、短編じゃないのか?これ。…まぁ、それぞれの立場上には『短編』ということで。また後ほど、このお話の裏話的なことが語れるとうれしいです。はい…。