國體護持 第六章 第二節 (自立再生論と新保護主義の相違點)-2 | らすログ☆

國體護持 第六章 第二節 (自立再生論と新保護主義の相違點)-2

はじめに・らすかる☆より  http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10277101543.html

目次・例言 http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10277160853.html

(自立再生論と新保護主義の相違點)-1 http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10304859531.html



第六章 萬葉一統

 第二節 自立再生論
  (自立再生論と新保護主義の相違點)-2



 第二に、新保護主義には、自立再生論のやうな「閉鎖循環系」の思想がない。自給自足はしても、循環型の社會(会)構築の提案が全くない點(点)である。これでは、前に述べた「修正主義(福祉主義)」の單(単)なる亞(亜)流であつて、淘汰される運命しかない。それは、「資源税」といふ考へ方に集約されてゐるのかも知れない。この資源税については具體(体)的な説明はないが、おそらく資源の費消に賦課される税制であらう。そして、課税者は、「大企業」を惡(悪)とする思想からして、生産活動に課せられることにならう。しかし、これでは産業構造の劇的な轉(転)換を生まない税制になる。これは、生産者に對(対)する課税であり、消費者にする課税ではない。さうすると、生産者は、何とかして消費者に消費性向を掻き立てさせるために、技術と廣(広)告宣傳(伝)驅(駆)使し、資源税を上乘(乗)せしても利潤を確保できる商品(殆どが奢侈(しゃし・度を過ぎてぜいたくなこと)な高級品)を制作して消費者に提供することになる。消費者もこれに迎合してこれを買ひあさる。そして、小規模ではあつても、奢侈商品の擴(拡)大再生産が循環されるのである。これでは本來(来)の目標には到達できない。さうではなくて、自立再生論に基づき、奢侈品には累進的に大きな税率の資源税を課すとの流通税(消費税)方式とすれば、家計との關(関)係で買ひ控へが起こり、過剰消費が抑制される。これは、過剰消費をと見るか、過剰生産をと見るかといふ決定的な相違であり、資源税の擔(担)税主を峻別することになるとともに、方向貿易理論による政策を實效(実効)ならしめるか否かの分水嶺ともなるのである。現在の高度分業制の社では、生産者は一部であり、消費者は、この生産者を含めた全ての人々となる。さうであれば、過剰生産をとする教育は、一部の生産者をとして指彈(弾)するだけで、自らの生活を自戒させる契機を失ふ。これにして、過剰消費をとする教育は、それ自眞(真)理であることもあるが、誰もが例外なく消費者であることから、誰かを者として指彈(弾)することによつて自己滿(満)足して傲慢になることはなく、全員が自らの生活を自戒する機に直面することになるから、教育的効果においても絶大なものがあるからである。



 第三に、新保護主義は、規制の具體(体)的な七つの方策を示すものの、その規制によつて達成する理想社會(会)の具的なありさまが全く論じられてゐない點(点)である。單(単)に、「秩序ある資本主義」として規制するとしても、その内容と方向に具性がない。これだけの規制を一度にすれば、資本主義は完全に失速し、經濟(経済)破綻を招來(来)する懸念がある。この七つの方策は、政策論として系化、序列化されてをらず、到達すべき理想社の方向が提示されてゐない。手段だけは掲げられるが目的と方向は掲げられてゐないのである。自立再生論のやうに、その究極が方向貿易理論による政策を推進して「閉鎖循環系の自立再生社の極小化」を實(実)現するといふ明確な理念に相當(当)するものがないのである。これに對(対)し、自立再生論からすると、「秩序ある資本主義」の「秩序」とは、まさに自立再生論によつて規律された秩序といふ具性がある。



 また、第四に、これは經濟(経済)効果において最も重要なことであるが、極小化は、内需擴(拡)大を推進することになるとの點(点)である。新保護主義には全くこのやうな經濟學(学)的視缺(欠)落してゐる。方向貿易によつて縮小して行く外需依存の體(体)質を内需依存へと改善させることができる。基幹物資の自給率向上のための極小化の方向は、技術革新による新商品の開發(発)とその販賣(売)、それを購入して活用することによる自給率の向上による利益獲得といふ好轉(転)的循環を生むからである。いはば、極小化政策とは、内需大モデルの「永久機關(関)」となるのである。新保護主義によると、外需規制だけで、内需大の施策がないので、資本主義は失速して經濟は停滞する。しかし、自立再生論によれば、方向貿易理論によつて外需規制を内需擴(拡)大へと轉(転)換させ、資本主義活動を自給自足制による自立再生社會(会)實(実)現へと向かふ牽引力として效(効)率よく誘導することができるのである。




國體護持 第六章 第二節 (自立再生論と新保護主義の相違點)-3 http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10304860926.html