欧州覗き映画における見つめる行為の官能性 | Untitled


ブログ・タイトルだけは格好良く(笑)

ひとつのテーマに絞って、映画を横断的に語っていきましょう企画。

前回の 「転がるオレンジ」 のアップ後、オレンジを転がす人が増えた? んなわけない。

さて、今回のテーマは・・・・・・・ 「覗き映画」

あぶない方向へ進んでいかない?(笑)  たぶん、だいじょうぶだと思います。。。。。

書き直しては下書き保存、書き直しては下書き保存を繰り返し

これを書き終えたら、もう映画ブログやめてもいいってぐらいの気持ちで書きました。
                                      (ま、やめませんけど。笑)



”覗く” という行為は、実は映画と密接な関係にあって

エジソンが映写機を発明したときは、思いっきり機械を覗きこんで鑑賞してましたし

その後、多くの観客を集めて巨大なスクリーンに映し出すという現在の形になっても

暗闇の中で別世界を覗き見るという行為に繋がっています。

「覗く」=「映画を観る」 と言ってもいいぐらい(言い過ぎ?笑)

そんな ”覗く” という行為とは、切っても切れない関係にある映画の世界で

”覗き行為” をする人たちが結構多いんです。 そして、かなり複雑な感情を抱いており・・・・・

見つめ返されることなく見つめていたい・・・・・

そんな想いに駆られた人たちを、みなさんと一緒にちょっと覗いてみましょう。





裏窓(’54)アメリカ  監督:アルフレッド・ヒッチコック


数多の映画の中で “覗きシーン” があれば、必ずこの映画を覗き見て、影響を受けたことでしょう。

他人の生活を覗き見てみたいという、人間の心の中に潜む窃視願望を巧みに使い

殺人事件を絡ませ、スリリングなサスペンス映画に仕上げたヒッチコックの代表作のひとつ。

この映画に影響を受けた欧州の映画人たちは、好奇心で覗いてみたいという意味合いではなく

愛する人を一方的に見つめるという視点で、官能的に描くこととなります・・・・・・。






仕立て屋の恋(’89)フランス国旗
  監督:パトリス・ルコント


近所からも嫌われる仕立て屋の男(ミシェル・ブラン)は、スーツをかっちり着込んでコートも羽織り、姿勢を正し

お気に入りの曲を流しながら、向かいに住む女(サンドリーヌ・ボネール)を覗き見るんです。

彼にとって “覗き” は、ある種 「儀式」 のようでもあります。

やがて、覗かれていることに気づいた女は、見られていることが快感になってきて

男に近づき、わざと完熟トマトを転がし拾いながら、おみ足をチラ見させて挑発したりする
                                         (オレンジを転がして欲しかった。笑)

男は、いやいや、そういうのじゃないから・・・・・と後ずさりしてしまう。

彼にとっての 「儀式」 が台無しになってしまうじゃないか。と言わんばかりに

見つめ返されたり、相手からアクションを起こされると、完全に思考停止してしまうのが“覗く行為”をする人の特徴。

見つめ返されることなく見つめていることこそが、彼にとっての唯一と言ってもいい愛情表現なんです。






愛に関する短いフィルム(’88)ポーランド  監督:クシシュトフ・キェシロフスキ


孤独な郵便局員の少年(オラフ・ルバシェンク)が、毎晩8時半に盗品の望遠鏡で

向いのアパートに住む年上の女流画家(グラジーナ・ジャポロフスカ)の行動を覗き見る。

愛する人を “見つめること” で、愛を見出そうとした男と

愛に疲れきり、愛を見失った “見つめられる女” を描いた物語なのですけど

「映画版」「テレビ版」 の2種類があって、ラストの締めくくり方が全く違います。

ここでは、「映画版」 の方で、お話ししたいと思います。

ずっと覗かれていた女が、少年の部屋に入り窓際の望遠鏡で自分の部屋を覗き見るんです。

すると、愛を遠ざけ心を閉ざし苦しんでいた自分の姿が映し出されるんです。

彼女は涙し再び愛というものを取り戻し、過去の自分を愛おしくすら感じるんです。

そして、少年は愛に疲れた自分にずっと寄り添ってくれていたのだと・・・・・






アパートメント(’96)フランス国旗イタリア国旗スペイン  監督:ジル・ミモーニ


『裏窓』 をはじめ、ヒッチコック作品へのオマージュが散りばめられた作品で

内気な女の子(ロマーヌ・ボーランジェ)が向かいに住む美しく快活な女性(モニカ・ベルッチ)を

羨望のまなざしで覗き見てるんです。 やがて、覗かれてることに気づいたモニカ・ベルッチは

壁づたいにロマーヌ・ボーランジェの部屋に上がり込み。「友達になりましょ」って挨拶するんです。

親友ができたロマーヌ・ボーランジェは、ある日、街でヴァンサン・カッセルに一目惚れし

ヴァンサン・カッセルはモニカ・ベルッチに一目惚れして、こっちがくっついてしまう。

二人が戯れる親友の部屋をロマーヌ・ボーランジェは、今度は悲しみに暮れながら覗き見ることになるんです。

この一連のくだりは、実は過去にこういうことがあった。という回想シーンのようなもので

オープニングは、ヴァンサン・カッセルが2人の女性ではない“第三の女”に送る婚約指輪を選ぶシーンで始まり

『パルプ・フィクション』 のような現在と過去を複雑に交錯させるラブ・ミステリーになっております。




え~っと、どうやら1回で終わらないようですね・・・・・・

続きは、明日、お送りいたしま~す。

やじるし 続・欧州覗き映画における見つめる行為の官能性