僕の村は戦場だった | Untitled



僕の村は戦場だった(’62)ソ連

原作:ウラジーミル・ボゴモロフの短編小説「イワン」

監督:アンドレイ・タルコフスキー


『サクリファイス』 の、あまりの難解さに、あえなく撃沈してしまい

以来、完全に食わず嫌いになってしまったタルコフスキー

パゾリーニ、成瀬巳喜男が、そうであったように

1本だけでその監督を評価してはいけないのです。



イワン(コーリヤ・ブルリヤーエフ)がいまも夢にみた美しい故郷の村は

戦火に踏みにじられ、母親は行方不明

国境警備隊員だった父親も戦死してしまった。

一人とり残された12歳のイワンが、危険を冒して敵陣に潜入し

少年斥候として友軍に協力しているのも、自分の肉親を奪った

ナチ・ドイツ軍への憎悪からであった・・・・・。



溝口健二『山椒大夫』 での最大の見せ場である、池に広がる水面の波紋を

“ここまで “水” を美しく描けるのは、溝口かタルコフスキーぐらいだ”

誰のコメントだったか忘れちゃいまいましたが、この言葉のとおり

“タルコフスキーの水” は、とにかく美しい。。。。。

イワンが敵から逃れ静かに泳ぐ河の水、水面に映る無数の木々。

母が運ぶバケツの水、イワンの手にぽたぽたと滴り落ちる水滴。

昼でも星を映す井戸水、その井戸水が太陽に反射して母と子の顔がゆらめく。

絶望の世界の中で、水だけが優しく見守っているかのように・・・・・



蝶が舞い、カッコウが鳴き、夏の陽光を浴びながら遊ぶイワンが

「ママ、カッコウがいるよ。」 微笑む母親・・・・・・・の瞬間

ハッと目覚めたイワンは、ドイツ軍占領地の風車小屋で身を潜めている。 

幸せだった日々の回想と荒廃した現実とを行ったり来たりを繰り返す。

夢の中では、あんなにキラキラした瞳をしていたのに

現実のイワンの瞳は、あまりにも鋭く、濁ってしまっている・・・・・。



ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作



巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督が詩情豊かな映像美で世界的な評価を得た長編第1作。
美しく平和な村は戦火に踏みにじられた。愛する母を殺され、怒りに燃える少年は
自ら斥候として敵地に忍び込む。それは余りにも危険な任務だった。
僕の村は戦場だった DVD HDマスター/ニコライ・ブルリャーエフ,ワレンティン・ズブコフ,エフゲニー・ジャリコフ

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