父 パードレ・パドローネ(’77)
監督は、『サン☆ロレンツォの夜』 の、パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟
原作は、ガヴィーノ・レッダの同名自伝
20歳まで父の元で羊飼いをしていた文盲のガヴィーノ・レッダが、言語学者になるまでの物語
ガヴィーノ・レッダ本人が登場して回想していきます。
第二次大戦後のイタリア、サルジニア島
ガヴィーノ少年は、父と山小屋の生活
厳格な父親の命令で、小学校を数週間だけで退学させられ
羊の番ばかりさせられている。
学校から連れ去られる時、おしっこ漏らしてしまうんですよね。
タイトルの “パードレ” は “父” “パドローネ” は “支配者”
父親からの暴力は日常茶飯事で、もちろん近くに児童相談所もありませんし(笑)
ベルナルド・ベルトルッチ監督の 『1900年』 であったり
エルマンノ・オルミ監督の 『木靴の樹』 であったり
イタリアの土の匂いがするような作品、大好きです。
サルジニア島の映像が美しくノスタルジックで
そういった風景の中で、ガヴィーノ少年が1人でぽつんと立っていたりして
ガヴィーノ少年は、日頃のうっぷんを羊にぶつけてしまうんです。
でも、羊にも舐められてしまって、乳を搾ってたら一緒にうんちもぽたぽた
心のつぶやきで 「ふざけるな、尻の穴ふさいでやろうか」
羊もつぶやきます 「お前が下手だからさ、荒れた手で乳をしぼるな」
ちょっと笑ってしまいましたが、ガヴィーノ少年が羊に蹴りを入れたりするんです。
やめて~ 動物に罪はないから~
でも、結局、抱きかかえてナデナデするんですよね。
ガヴィーノ少年が可哀相なのは、羊の交尾を見て、性に目覚めるんです。
エロ動画じゃないんです(笑) 将来、変な性癖ついてしまうのでは・・・
そこらへんの描き方はイタリアらしい。
厳格な父親役に、オメロ・アントヌッティ
ビクトル・エリセ監督の 『エル・スール』 でも、お父さん役でしたね。
今作では、 “パードレ(父)” と言うより “パドローネ(支配者)” が強く感じられてしまった。
タヴィアーニ監督は、この父親像について
「支配層の上っ面をなぞることに固執する姿は、従属から自ら解放した人間と比べると悲観的だ」
と語っています。
ガヴィーノの少年期ばかり掘り下げてしまいましたが
彼が、どのように父と向き合い自立していくか
学ぶことに目覚め、単語を1個1個、覚えていきながら、次第に流れるような文章になっていく。
終盤、父親がベッドでうなだれてしまう姿が印象的でした。
カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞作
カンヌ国際映画祭受賞作
読み書きは大人になってから覚えればいいという厳格な父親のため、ガヴィーノは学校にも行くことも許されず、山で羊の番を強いられる。
父 パードレ・パドローネ [DVD]/オメロ・アントヌッティ,サヴェリオ・マルコーニ,ファブリツィオ・フォルテ
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