木靴の樹 | Untitled



木靴の樹(’78)イタリア国旗フランス国旗


監督は、エルマンノ・オルミ


最初に書く言葉が、なかなか見つかりません。

『名作』 と書けばいいのか 『傑作』 と書けばいいのか・・・

どんな最上級の言葉を用意しようか・・・

それぐらい、私の心に響いた作品です。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-grvsdv

最初の1~2分で、あ、この映画好きだ。 と思いました。

19世紀末のイタリア、ベルガモ、貧困にあえぎながらも逞しく寡黙に生きる農民達

プロの俳優は一切出てこず、本物の農民達を使って、太陽の自然光とロウソクの実際光だけで撮影しています。

イタリア・ネオレアリズモを代表するヴィットリオ・デ・シーカ監督を敬愛しているというオルミ監督

その流れを受け継いで、真の人間の姿をドキュメンタリータッチで描いています。

『ネオレアリズモ』 『ドキュメンタリータッチ』 なんですけど、言葉の響きほどカクカクしていない。

女の子2人が、数を数えながら手押し車を押す姿なんかは

ミツバチのささやき』のヴィクトル・エリセ監督のように、映像が繊細で優しい、そして何処かノスタルジック



※ ネオレアリズモ = イタリアにおいて'40年代から'50年代にかけて特に映画と文学の分野で盛んになった潮流。戦争による恐怖と破壊を経験したあとで未来を築こうとあえいでいたイタリア社会に現れた問題や現実に題材をとっていた。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-vergrf

音楽もパイプオルガンであったり、教会の鐘の音であったり、人間の営みの音だけであったり

農作業する人たちの歌だったり、過酷な生活を描いているのですが情緒的なんです。

おじいちゃんと孫娘とトマト栽培をするのですが、芽を植えて赤い実になるまでの過程を見てると、とても優しい気持ちになる。

あの赤いトマト、是非ご馳走してほしい。

ある家庭で、出産があるんですけど、部落の女性が総出でお産の手伝いをするんです。

無事出産したあと、産んだ母親が女性たちに

「本当にありがとう」

「なに、お互いさまでしょう。それにしても、よく泣くわね」

こういう台詞の中にも温かみを感じてしまう。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-brgwef

部落の中の若い2人が結婚して、新婚旅行に行くんですけど、馬車の中でも船の上でも言葉を交わさないんです。

ややしばらくして、お互い見つめ合い、女が男の腕に手をかける。

教会の鐘が鳴って 「お昼だわ」

お弁当広げて2人で食べる。

オルミ監督ってホント優しい人なんですね。

寄り添うような映像なんです。

こういった小さな小さなエピソードが、四季の移り変わりとともに積み重ねられていくんです。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-gvsafvr

タイトルがなぜ 『木靴の樹』 なのか

いくつもあるエピソードのひとつなのですが、タイトルにするほど、抜きん出たエピソードでもないんです。

ラストにそれがわかるのですが、最後の最後で、そんな展開になるとは・・・・

ドナドナを超えてます。

真夜中の小さなランプの光。あの光がとても、か弱くてか弱くて・・・・



カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞作

→ カンヌ国際映画祭受賞作



19世紀末のイタリア。小作農場に暮らす4家族に起こるさまざまな出来事を、四季の巡りの中で描いたエンマルノ・オルミ監督の感動作
木靴の樹 [DVD]/ルイジ・オルナーギ

¥3,990
Amazon.co.jp