(前回の関連記事は「本当は怖かった呼吸法
」です)
65年前の気功修行
前回の記事では、仙道で陽気を発生させるために行われる武息という
呼吸法の危険性について説明しました。
呼吸は自律神経の働きと密接に結びついているため、呼吸を通して
体温や内臓のはたらきをコントロールすることが可能となります。
特に武息では呼気に重点を置くことによって体を興奮状態において
陽気(熱感)を発生させます。
このように呼吸法には優れた利点があるのですが、神経や内臓に
ダイレクトに作用する分、副作用が起きる確率も高くなります。
わたしの経験では、数年単位の長期にわたって武息を行っていたと
いう人には
・不眠
・のぼせ
・怒りなどの情緒不安定
・精神不安
・抑ウツ症状
といった明らかに自律神経の異常からくる症状に苦しんでいる人が
いました。
また、自律神経の異常は波動にも悪影響を与えます。
わたしの経験では、呼吸法で自律神経の異常に苦しんでいる方々は金銭面、
仕事面、恋愛など様々な問題を抱えていました。
しかし、実は呼吸法には自律神経以外にも肉体に異常を引き起こす原因が
あります。
実はわたし自身がこの原因によって問題が肉体の異常が出て苦しんだ経験が
あります。
その時に問題を解決するためにいろいろな気功書や気功系サイトに目を
通したのですが、これについて書かれているものはほとんど皆無でした。
ただ1冊、数ページ解説している気功書があったのみです。
もしかしたら、現在もわたしと同様の問題に苦しんでいる人がいるかも
しれませんので、この機会に紹介したいと思います。
※これから紹介する本の内容で問題が解決するかどうかについては
個人差がありわかりませんので、実践する・しないに関しては自己責任
で行ってみてください。
先ほど紹介した本は、中国の原書を30年ほど前に日本で翻訳して
出版されたものですから、おそらく本に書かれている体験談は今から
40~50年以上前のものだと考えられます。
内容は9人の気功家の体験談や論文形式となっています。
これからわたしが紹介する文章は、題名は「小周天の気功練習法」で、
筆者は湖北省孝感県朋興人民公社で働いている陳寛金さんとなっています。
今の若い人は知らないと思いますが「人民公社」とは懐かしい言葉です。
わたしが学生の頃は旧ソ連のコルホーズと共に暗記させられたもので、
時代を感じさせます。
↓は1960年頃の中国についての興味深い動画です。
http://www.youtube.com/watch?v=OFbFafTH98Q
この動画を観た時は、自分が生まれる数年前に隣国でこのような
時代錯誤的なことが行われていた事に驚くと同時に、日本に
生まれてよかったとしみじみ思いました。
話が少し逸れてしまいましたが、以下は陳さんの
気功修行体験です。
わたしは幼いときから体が弱く、よく病気した。
十八歳になると健康状態がいっそう悪化し、病床を離れない日々を
送っていた。
その後、医者の忠告にしたがい、雑念をとり除き心を安らかにして静養した。
その甲斐があってか、病弱の体がいくらかよくなってきた。
三十歳になった1947年、友人に勧められて静養し、一日に三回、座功
(静座の気功)をやるようになった。
このように病弱な体を治すために陳さんは気功修行を始めました。
わたしから見るとその理由は、
「当時の中国はろくに薬も食べ物もないから、安静にするか、呼吸法くらい
しかすることがなかった。」
という事だと思います。
ちなみに陳さんは1917年生まれになりますから、生きていれば
現在95歳になります。
まさか半世紀以上たってから、自分の体験が日本のインターネットで
公開されるとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。
しかし、座っているときは雑念がどんどんわいてきて、呼吸はかえって
荒くなり、胸がなにかにふさがれたように堅くなった。
ちょうどその時、漢口の名医で、気功専門家の祝先生が北京から漢口に
もどってきたので、、さっそく訪ねて教えを求めた。
そして小周天の気功練習法を身につけ、それ以後ずっと練習をつづけた
のである。
この「胸がなにかにふさがれたように堅くなった」というのが、
わたしが独習していた時に悩まされた症状となります。
陳さんはそこで気功の良師に巡り合うことが出来ました。
彼の小周天体験記の内容がなかなか面白いので抜粋します。
1965年3月15日夜、座功をやっている最中、とつぜん尾骨の
まわりが我慢できないほど痒くなったが、半日たつとそれが消えた。
5月3日の夜半、二本の足が急に揺れだし、左右対称で、それぞれ八回
揺れたが、ふた晩たつと収まった。
その後、尾骨のあたりにミミズのような蠕動が感ずるようになり、
三カ月も続いた。
これは陽気の発生です。
文章の波動を読んだ感覚ではクンダリ二ーも活性化しています。
そのため尾骨付近を中心に気感が発生しています。
これは陳さんがもともとクンダリ二ー上昇タイプの体質だったのだと
思います。
しかし、「我慢できないほど痒くなった」というのは面白い気感です。
この文章を書いていて思い出しましたが、栃木の男性受講者Sさんは
受講2回目でわたしが遠隔で小周天ルート(皮膚レベル)を開いた時に、
「下腹部(気海)とその裏(仙骨の辺り)がチクチクします。」
「腰(命門)の辺りは低周波治療器をかけているようです。」
「気ってチクチク痛いんですね。」
と言っていました。
それに対してわたしは、
「気の感覚は人それぞれなんだけど、Sさんも小周天を続けていれば
そのうち違う感覚が出てくるよ。」
「気功は常に変化するものだからね。」
と答えたものでした。
わたしが今まで見てきた中では、このSさんの気感が陳さんのケースに
一番近いと思います。
ちなみに最近のSさんは、チクチク感がなくなり、熱感として気を
感じるようになっています。
8月15日夜には、体が前後に揺れ動き、首は気でも狂ったように
ぐるぐる回り、自分が支えられないほど震え出したが、半日たつと
さらにひどくなって、ベッドもがたがたと震動した。
これはいわゆる「自発動功」というものです。
詰まっている体内の部位を気が無理に通ろうとするときに
体が激しく動いたりする現象です。
わたしが遠隔で気脈を開くときは気脈の詰りをとりながら、気が
スムーズに通るように皮膚直下の浅い部位を通します。
そのため、自発動功はほどんど起きませんし、起きたとしても背中が
のけ反るくらいの反応しか出ません。
しかし、陳さんの場合は独習で行ったために気が経脈で詰まって
なかなか通らなかったんですね。
それにしても、
首は気でも狂ったようにぐるぐる回り、自分が支えられないほど
震え出したが、半日たつとさらにひどくなって、ベッドもがたがた
と震動した。
というのはスゴイ動き方です。
仮に現代日本でこのような症状が出れば、原因不明のヒステリー
症状の一種とでも診断されて施設に収容されてしまうのではないで
しょうか。
わたしから見ると、陳さんの自発動功の原因は長年ベッドで静養していた
ために筋肉や関節が硬くなっていた事が大きいと思います。
内功(体内の経絡に気を通す修行法)を行っている人の中には、肉体面を
軽視して運動をほとんど行わないタイプの人がいます。
こういうタイプの人に陽気が発生した場合、詰りが発生して自発動功が
起きるすケースが多いようです。
予防として太極拳や立禅を行うのも悪くはないのですが、これらは下半身の
筋肉に疲労が溜まりやすい傾向があるため、人によっては慢性的な腰痛持ち
になります。
ですから、わたしは受講者には毎日30~60分歩いたり、1日20~30回の
スクワット、ストレッチを行うことをすすめています。
このくらいの運動量が気の詰りの予防には最適だと思います。
※次回の記事更新日は1月1日になります。
にほんブログ村