高藤聡一郎が描いた未来
前回の記事では「後天の気」「先天の気」の違いについて、
仙道研究家 高藤聡一郎氏の解説と食事療法を例にして
紹介しました。
まとめますと、
「後天の気」
①空気・水・食べ物を体内に取り入れた結果として発生するエネルギー
②一般的な体力(生命活動の維持)、精力(性欲を発生させる)
→医療機関で行われるカロリー・栄養素重視の一般的な食事療法
「先天の気」
①空気・水・食べ物を補給を受けなくても存在するエネルギー。
②性殖機能が出てくる前の子供の気(性欲を発生させない)
→医学的に必要とされる栄養素を絶つことによって病気を
治そうとする断食療法
となります。
以上の点を頭に入れていただいた上で、本来のテーマである
深部小周天でドツボにはまるケースについて説明します。
わたしのもとにはよく、
「自分は小周天の行を行っています。」
というメールが寄せられるのですが、そういう人のほとんど9割以上は
仙道研究家 高藤聡一郎氏の著書(いわゆる高藤本)を参考に修行を
行っています。
わたしもいろいろな気功に関する書物に目を通してきましたが、高藤本ほど
小周天について詳しく書かれた書籍はありません。
そして、高藤本に書かれている行法は、伍柳(ごりゅう)派という
仙道の一派の行システムを中心に組み立てられています。
この伍柳派仙道についての記述が面白いので「仙人不老不死学」より
抜粋してみます。
全真教の中に伍柳派という一派をつくった伍仲虚は、弟子の柳華陽に術を
授けたのが207歳の時に当たる。乾隆45年(1780年)がこの年で、
その後もまだ生き続けた。
弟子の柳華陽も「性命法訣明指」という本を見ると清末・民国初めまで
出てくるから百数十歳まで生きていたわけだ。
以上の記述によると、この伍柳派は今から230年ほど前に誕生した
わけです。
この1780年頃の世界史での出来事としては、
1782年 天明の大飢饉始まる
1783年 イギリスがアメリカ合衆国の独立を承認
モンゴルフィエ兄弟の製作した熱気球で有人飛行に初めて成功
1786年 モーツァルト、オペラ『フィガロの結婚』を初演
田沼意次、老中を解任される
1789年 ジョージ・ワシントン、アメリカ合衆国初代大統領に就任
バスティーユ牢獄襲撃によりフランス革命が始まる
となっています。
仙道や仙人というと古臭いイメージがありますが、こうして世界史・日本史の
出来事と絡めて見てみると、そんなに大昔の出来事でもないんですね。
わたしの好きな時代劇「剣客商売」や「鬼平犯科帳」の時代です。
(わたしは両作品とも原作は読んでいませんが、コンビニでさいとうたかをの
ゴルゴ13みたいな濃い顔のキャラが出てくる両作品のマンガを見かけると
思わず買ってしまいます。 )
「それでは、伍柳派を生み出した全真教とはなんなのか?」
という疑問については以下のような記述があります。
全真教の開祖・王重陽やその弟子丘長春あたりを仙人の代表に仕立てあげると、
仙道がにわかに現実味を持ってくる。
なにしろ、丘長春は、彼の人柄と見識で、あの殺人兵器のようなジンギスカン
を、全真教のとりこにしてしまったのだから、並大抵の人物ではない。
しかし、この連中が空を飛んだりなどという話は聞かない。
空は飛ばなかったが、華北一帯に、あれよあれよという間に教団を大拡張すると
いう現実的な法力は十分持ち合わせていたようだ。
それだけではない。
後継者から、どんどん傑出した仙人を輩出する基を作った。
数代後の教祖伍仲虚は、この修行法をマスターし、ゆうゆうと二百歳以上も生きた。
要するに、この王重陽という人物はモンゴル帝国初代皇帝であるジンギスカンを
スポンサーにつけることによって、
・全真教という教団の社会的基盤を築いた。
・後に数々の仙人たちを生み出す行体系の整備を行う。
・その影響はモンゴル帝国のみならず、中国北部一帯にまで及んだ。
という事です。
これは高藤氏が言うように並大抵の人物ではありません。
そこで、
「現代の日本にこういう人物がいるのだろうか?」
と考えてみたところ、某IT企業の経営者が
・震災直後のどさくさに紛れて当時の首相に「再生可能エネルギーの
固定価格買取制度」法案を通させる。 (ドイツではすでに破たんした内容)
・通常電気料金がkwあたり家庭向け20.37円、法人向け13.65円で
あるのに対して税金を投入して42円で国に買い取らせる。
・使用する太陽光発電機は日本製でなくて中国製。
・某IT企業のデータセンターは日本の半額の電気料金(原発による発電)
の韓国に移転。
という完璧な集金システムを確立した事例を想起するのですが、おそらく
王重陽はそれ以上のやり手だったのではないでしょうか?
話が深部小周天から逸れてしまいますが、このような日本の状況を
見ていると高藤総一郎氏が著書「仙道未来予知 察気の法」において
政治家の失政と売国奴により、金が逃げて行くので、国は金持ちから金を奪い、
金持ちは中産階級から奪い、下層階級は働いて寝るだけの生活を送る。
と描いていた日本の未来が連想されます。
先ほどの「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は20年間(10KW
未満の太陽光は10年間)は続くそうですが、買い取り制度が終わり旨味が
なくなればほとんどの企業は撤退しているでしょうから、
高藤氏が言うように、ただ
金(税金)が(一部の企業・外国に)逃げていく
だけの結果になるわけです。
こうして代替エネルギーへの移転がマイナスの方向に進んでいる状況下で
原発停止により電気料金はこれからも上昇を続け、それに伴い日本の産業は
国際競争力を失い衰退の一途を辿ります。
その一方で高齢化により社会保障給付費は「仙道未来予知 察気の法」が
出版された1992年の56兆円から、
2000年 78兆円
2011年 99兆円
と増大し続け、
2025年には 141兆円
になると予測されています。
わたしから見ると、こういった金が逃げて行く状況が、政治・経済・外交
あらゆる階層で加速して拡がっているのが日本の一番の問題なわけです。
しかし、大部分の国民は原発を停止する事くらいにしか関心を持ちません。
しかも、原発停止が10年、20年後にどれだけ経済に打撃を与えるのか、
将来の社会保障費は確保できるのか、代替エネルギーの開発はどうするのか、
といった具体的な議論はほとんど行われていません。
ただ、目の前の出来事(原発停止)にしか関心が無いわけです。
この長期的な視野と論理性の欠如は日本人の国民性ですから、どうしようもないと
わたしは読んでいます。
(ある意味、こういう国民性が日本人のいいところなのでしょうが。)
ただ、興味深いのは高藤氏が予見した通りに日本の状況が進んでいることです。
おそらく高藤氏も日本人の性質から見て、この流れは止められないと考えていた。
その上で、後期の著書においては、
「現代に生きる仙人のサバイバル術」
という言葉を残しています。
おそらく21世紀に日本で仙道が復活するとしたら、これが重要な
キーワードになる予感があります。
ただ、こうして危機感を煽って人の生き方にあれこれ干渉すると、某新興宗教の
ようになってしまう可能性がありますから、わたしはあくまで個人レベルで高藤氏が
残したこのキーワードを追求していきたいと考えています。
それにしても、よくよく考えてみれば、バブル期に仙道を広めて大金を稼ぎ、
さっさと日本に見切りをつけて海外へ姿を消した高藤氏こそが、「リアル王重陽」
だったのではないでしょうか。
(次回は深部小周天の記事を書きます。)
つづく
※次回の記事更新日は10月20日になります。

にほんブログ村
