おいっ!! 北米のPSコードが手に入らないこのタイミングで、
ストアに新作が6本も来やがったぞ!!
(上6本は新作。「スマアリ」は昨日国内ストアにも来たけど、他は日本未配信)
因みに、俺のウォレットに残っているのは14$ちょっと。
今日は仕事が休みだからこの後の日記で詳しく書くけれど、北米のPSNコードを巡ってのドタバタは相変わらず続いているね。もしかしたら、明日チャージが出来るかもしれないけれど、確定ではない。
んで、そんな残り少ないお金で買ったのが今回紹介する「Digital Domain's Monkey King」(以下モンキーキング)だね。タイトルからも察しがつく通り、「孫悟空」のお話みたい。
ストアでの表記はゲームではなくアプリとなっているから、観賞系コンテンツなのか…?
とりあえず買って試してきたんだけど…
買ってよかった。大満足の内容。
概要
購入先:北米ストア
ジャンル:VRアニメーション
言語:日本語非対応
コントローラー:デュアルショックのみ(操作無し)
視点:-
移動方式:-
どんなコンテンツ?
うん、今回は始めに「モンキーキング」がどんな内容のコンテンツなのかを書いておこうと思う。その方が話が進めやすい。
「モンキーキング」は香港で制作された20分弱の3DCGアニメで、お話は大きく3つのチャプターに分けられている。
孫悟空と言えば一般的には「西遊記」の登場人物として知られていると思うんだけど、本作では悟空が三蔵法師と出会うより前のお話が描かれている。もっと正確に言うのであれば、如意棒を手に入れるところまでだね。
んで、先ずボリュームについてなんだけど、俺の把握している3DCGアニメとしてはおそらく最長じゃないかな…?
「360Channnel」で視聴出来る『バトルガール』は長いけれど普通のアニメをVR空間のスクリーンで観賞するだけだし、『オニズシ』は立体視でも無ければ尺も短い。「Allumette」もそこまで長くはないよね?
YouTubeでは「攻殻機動隊」や「アサシンクリード」みたいな理想的なVR映像作品があるけれど、あくまでも予告編の位置付けでストーリーもボリュームも無いからね。
とにかく、「モンキーキング」は有料で配信するに十分のボリュームだよ。
(この辺は最高のクオリティーなんだけど、一本の独立した作品とは言い難い)
んで、俺はこの作品のジャンルを胸を張って"VRアニメ"と呼ぶ事にした。
立体視&360度映像という両方を満たしていて、且つボリュームと、アニメーションとしての面白さ、VRである事の意味が存在している。これは「Allumette」以来の快挙じゃないかな…?
ここ最近何度か日記で「Invasion!」はアニメーションとしては素晴らしい出来なんだけど、固定カメラであるが故にドラマ性が薄くて物足りないと書いてきたんだけど、「モンキーキング」はそれらの問題をきちんとクリアしていると思う。
んじゃあ、それをこれから画像を見ながら語っていこう!!
(5分ちょっとのチャプターが3つ。操作があるのはこのチャプター選択のみ)
面白い!! VRアニメとしての様々な工夫
一番左のチャプターを選択すると、「How We Sore」を連想させる巨大な本が目の前に現れて、そこにお話の内容を示した絵とスタッフクレジットが。
うん、実を言うと、この時点で既にこの「モンキーキング」がかなり高いレベルの作品だという事がわかる。
本に書かれている絵の面白さ、巨大な本にゆっくりと近付いていくカメラ、クッキリと飛び出している文字。
どれもゲームの世界では当たり前の映像なんだけど、観賞系のコンテンツでこの辺を押さえている作品は意外に少ないのよね。
(巨大な本のページがめくられていって、最後に中に吸い込まれていく)
んで、プレイヤー(一応)が本の中に入ると、そこには巨大な岩山がそびえ立っている。カメラはグングンとそこに近付いて、拘束されている孫悟空がそこに。
うん、ここまでの流れはダイナミックで凄くいい。植物や背景のCGのクオリティーはそこまで高くなくて「アサシンクリード」みたいな凄みには欠けるんだけど、実写みたいなCGであれば作品が面白いかと言われればそうでもないしね。
あと、積極的にナレーションを入れているのも効果的。プレイヤーの視点を登場人物としてではなく、あくまでもカメラとして扱っているから、TVアニメと同じ手法が使えるんだね。俺はこれでいいと思っている。
(ゲームとアニメの中間の感覚。不思議と新しい)
うん、その後もカメラのカット切り替えを多様しつつお話が進んでいくんだけど、全然退屈しない。「Invasion!」やその続編とは違ってカメラを動かしているし、背景もガンガン変わるから
映像的なダイナミクスが生まれている。
もっと言えば、VR空間で効果的なこちらに急接近する演出(これもやり過ぎると白けるのよね)も適度に盛り込まれていて、迫力もある。
(猿の村。周りを見回すとたくさんの猿がいる)
(プレイヤーの目の前にある足場に向かってジャンプ。こういうアピールは必要)
(初のバトルシーン。物語としてのテンポもいい)
明るくて美しい世界観
うん、孫悟空のお話という事もあって、英語でも大まかなストーリーの流れはわかるね。
そして、やっぱり映像的な美しさと面白さに心を奪われる。特に桜が咲く寺院の映像はとても美しいし、僧侶達と武闘の稽古に励む孫悟空の動きも楽しい。
あと、時間の経過によって背景が夕刻のオレンジになったり、夜になったり、固定カメラのシーンでも映像のどこかに変化を持たせて飽きさせないように工夫がされていると思う。
(この世界観素晴らしくない? ゲームでもこういう世界を冒険したい!!)
(修行中の悟空を固定カメラで見せる。長時間の鍛錬を背景を変えて表現)
そしてVRらしさがもっとも生きていると感じたのは、悟空と老師のやり取りを隠れて覗き見る裏切り者のシーンだね。
左後方で会話をする悟空と老師がいて、右の方を見ると裏切り者の修行僧がコソコソと岩陰からその様子を覗いているんだけど、こういう物語上の必然性がある場合、プレイヤーに首を動かして観賞させる意味が生まれると思うのよ。
今までゲームでも動画でも、これみよがし離れた位置でイベントを発生させて、プレイヤーをキョロキョロさせる事が目的になってしまっている作品が多かったんだけど、このシーンはそれとは全く違う。
プレイヤーがストーリーの流れ上「どうなってしまうんだろう…?」と不安に煽られ、能動的に首を動かしてその両方を確認してしまうシチュエーションをきちんと作り出している。
(老師から動物に变化する秘技を伝授される悟空)
(反対側を見ると怪しい人影が。2人の様子を覗き見している裏切り者)
魔王とのバトル
最終チャプターでは、村を襲う魔王と悟空とのバトルシーンがあるんだけど、ここも実にいいね。巨大な魔王がカメラの目の前で暴れまわる様はまさに脅威。
老師が魔王に敗北するシーンなんかは、一人称視点に固執した作品には出来ない演出も含まれていて、よりお話の部分が強調される結果になったと思う。
途中派手なエフェクトやストップモーションの様な演出も加わって、純粋に映像としての面白さを追求しているのがよくわかる。
(ミノタウロスのような化物との戦闘)
(猿の村を襲う魔王と戦う決意をする老師と僧侶達)
(魔王強し。次々にやられていく猿と僧侶。ついに老師と魔王が一騎打ち)
(老師も秘技で必至に応戦するも…)
(老師がやられる瞬間に引きの画になってとどめを刺される音だけが流れる)
(悟空到着も時すでにお寿司。無念の老師)
(仲間達の復讐に魔王の住む洞窟に再び乗り込む悟空。左を見ると夜空に満月が)
(これがラストバトル。変化の術を使いついに勝利する悟空)
(モンキーキングとなった悟空。めでたしめでたし)
個人的な満足度:星4★★★★
ゲーム、動画を問わず、VR空間でストーリーを語る際、頻繁にこの作品の名前が挙がるであろう存在位意義の高い体験をさせてもらったね。
これまでVRのストーリーテリングの最高峰は「Rez」と「ヒアゼイライ」だと思っていたんだけど、「モンキーキング」はそれとはまた違った方向性で、VRのストーリーテリングの道を開拓したよ。
カットのタイミングが速過ぎて、もっとじっくり映像を見たかったシーンもあったんだけど、それは今後の課題だろうね。
あとはここに少しだけでもインタラクティブな要素が加われば、より面白い内容になっていくんじゃないかな?
正直、気持ち的には星5を付けてもいいぐらいの満足度。ただ、映像的なインパクトやCGのクオリティーの面で、さらに上を目指して欲しかった点と、カメラワークももっと良く出来たはず。もっと動かしてよかったと思う。
とは言っても大満足な一本だし、今後のためにもどうにかして多くの人に体験して欲しいな~。
今回手持ち金が少ない中で選んだ一本だったけど、「モンキーキング」を買って本当に良かった。もちろん超お薦め。というか、必須科目です!!