本日の外来語(No.17:エピソードの”エピソード”)~新シリーズのために | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

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(1)エピソードは和製英語?

本日の外来語はエピソード(episode)。ギリシャ語epeisodion(挿入)を起源に持った語です。劇の幕間に挟む短い話、即ち「挿話」がダイレクトな訳語になります。

この構図をそのまま音楽に持って来ますと「挿入曲」となり、メインの楽曲(主題)の間に挟まれた短い自由曲となります。


こう見て参りますと、どうやら「挿す」「挟む」「短い」という三つの言葉が語の本質を示している事が分かります。即ち、「前後に大きなものが存在する」事がこの語を用いる条件という訳です。この構図で用いている限り、決して和製英語では無いのです。


(2)では、本来の意味から外れた用法とは?

一方、TV放送などで「~さんにはこの様なエピソードがあります」などと言うのをよく耳にします。スポーツ選手や大物芸能人の「過去の話」を持ってくる場合などが多い様に見受けられます。

これは特定の人物に関わる興味深い話、つまり「逸話」です。エピソードを「逸話」という意味で用いる・・・間違いなく「和製英語」の領域に入るものです。この場合、「前後」は関係なくてあくまでも「ピンポイント」ですよね?


それならば「逸話」を表す英語はと言いますとアネクドート(anecdote)。「エピソード」と同じくギリシャ語起源であり、頻度はそれほど低くは無い大学入試レベルの英単語です。


ひょっとするとアネクドートが日本人にとっては発音しにくく馴染みにくいという事なのかもしれません。しかし、「エピソード」はやめて「逸話」と言えば良いだけの事では無いのか・・・そう言う印象は強く持っております。


(3)なぜこの時期にこの話を?

実は、「歴史エピソード」という新コーナーを予定しています!

本ホームページの歴史物は複数話に及ぶ傾向が有り、それら(や語学)の「合間に」「一話完結形式での」歴史物の記事も書こうという訳です。


このまま突然「歴史エピソード」と書いてしまうと、誤って「歴史的人物の逸話」と思われてしまいそうですからね!勿論その場合は「歴史アネクドート」とか「歴史逸話」などという様に書きますので!


・・・まあ、それほど我々は「”和製英語”の”エピソード”」に毒されているという事なのでしょう。