(1)日本語の規則動詞
規則動詞とは何か?不規則ではない動詞の事です。
当たり前の事ではないか?いえいえ、その当たり前の事が大事なのです。
我々は外国語を会得する際に、どうしても母語(日本語)を基準にものを考えます。従って、ロマンス語(スペイン語・イタリア語・フランス語など)の規則動詞について議論する前に、やはり日本語ではどうなのかを考えてみる必要はあるかと思います。
日本語の不規則動詞は「来る(カ行変格活用)」「する(サ行変格活用)」の僅か2つ。正確に言いますと「漢語・カタカナ語(※追加)など」+「する」という合成が出来るので「する類」となりますが、「する」の部分の活用はどの様な場合も同じになるという極めて規則的な振る舞いをします。
その他は例外なく規則動詞。「五段活用」「上一段活用」「下一段活用」の3つのグループのうちのいずれかに入ります。
(2)規則パターンは1つでなくともよい。しかし・・・
日本語動詞の「規則パターン3つ」が多いかどうかは、ラテン語を源とするイタリア語、スペイン語が「第1活用」「第2活用」「第3活用」の「規則パターン3つ」を持つ事を知っていれば十分でしょう。これは以前の記事第2外国語への手引き(第13回:進行形と2種類の現在分詞~後編)http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10561325012.html などで取り上げている事柄です。
しかし、日本語の規則動詞には例外が無い一方で、イタリア語の第3活用(不定形が-ireで終わる動詞)には困った事に2つのパターンが有るのです:
aprire開く<”標準”またはA型> capire理解する<isc型またはB型>
単数
1人称 apro capisco
2人称 apri capisci
3人称 apre capisce
複数
1人称 apriamo capiamo
2人称 aprite capite
3人称 aprono capiscono
右側のB型は"isc"が挟まっているため「isc型」と呼ばれる事はお分かり頂けると思います。
それでは、第1・第2・第3(第3A)・第4(第3B)の「規則パターン4つ」と考えればよいのではないか・・・
いえいえ、それも問題です。なぜならば、(目安は有るとしても)「A型」と「B型」との「明確な」分別法がないのですから。
明確に分別出来なくて、どこが「規則的」なのでしょうか!
やはり日本語動詞と同じ様には行きません。イタリア語の云うところの「規則的」は鵜呑みには出来ず、あくまでも学習のための「目安」という積もりで会得に取り組むしか無いのです。(つづく)