第2外国語への手引き(第19回:[スペイン語]2つのbe動詞相当語) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

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<本記事を引用された場合、その旨を御連絡頂けると有り難いです。>

serestar・・・スペイン語には英語で言う「be動詞」が2つあり、第2以降の外国語として学ぶ場合にはその区別に慣れが必要です。


早速ですが、比較のための例文を挙げてみましょう。

(a)Ana es guapa. (英Ana is beautiful.)

(b)Ana esta' guapa hoy. (英Ana is beautiful today.)

ここで、es, esta'はそれぞれser, estarの三人称単数現在形です。英訳では共にbe動詞が使われている事は確認できるとして、両者の違いは分かりますでしょうか?


(a)はアナさんは「美人である」。

(b)はアナさんは「今日は」綺麗にしている。

という意味になります。

即ち、

serは本来持っている「性質」

estarは一時的な「状態」を示すという訳です。

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ここまでならただの文法上の注意事項。更に確認を進めれば、確かに進行形、受動態においても、serestarは英語でいう「be動詞」の役割を見事に分担している事が分かります:


「進行形(英語ではbeが助動詞)」→スペイン語ではestarが助動詞!

詳しくは本編第13回http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10561325012.html を御覧下さい。

Estoy preparando espaguetis. (私はスパゲッティを作っているところです。)


「受動態(英語ではbeが助動詞)」→スペイン語ではserが助動詞!

詳しくは本編第15回http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10567120039.html も御覧ください。
La actriz es amada por todo el mondo. (その女優は世界中で愛されている。)


この事は進行形を持つイタリア語でも言え、stare(スペイン語のestarに相当)が進行形、essere(スペイン語のserに相当)が受動態の助動詞となります。


なおスペイン語・イタリア語とはロマンス語の仲間であるフランス語は、be動詞に相当する語はe^treだけです。従って、これらを纏めると次の様になります:

 進行形の助動詞   受動態の助動詞

英    be       be 

西    estar     ser

伊    stare     essere 

仏    なし      e^tre


確かに進行形・・・「状態」、受動態・・・「性質」という関係は、進行形が『一時的な状態を示して固有の性質ではない』という事も有り、完璧では無いにしても或る程度は連想出来そうですね。


それからもう一つ。フランス語には進行形が無い」訳ですが、この事と「be動詞相当語が1種類しか無い」という事とが何やら対応している様に思えてくるのです。これについては、分かり次第報告する事にいたします。

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参考文献:伊藤太吾著「フランス語・イタリア語・スペイン語が同時に学べる本」,ナツメ社,2006.