『もうやめにしたほうがええ、いい年こいた美魔女をちやほやする国に未来はない』
と辛辣な意見を述べた小藪千豊さｎ。
そしてこの発言はこれまで『美魔女』って正直なんなの？恥ずかしくないの？という思いがくすぶってきた人々を激しく刺激しました。
誤解のないようにいいますが、 小藪さんは『美』を仕事としている人やそれが求められる人がいつまでもきれいでいなければならないことについては賛同されています。
というよりも、『美魔女』が正義だと、年をとってもいつまでも若々しくしていなければならないと、そんな風潮を生んだ美魔女の仕掛け人集団、さらには不必要なほどのアンチエイジングをあおる一連の流れ、国の政策、などに対してもの申されています。
自分の稼いだお金を自分には一切使わずに、大切な我が子の塾代に使ったり、家計を助けている同世代の女性たちが、どうして正義ではないのか、そっちもまた尊いのではないか、そうおっしゃっているのだと思います。
そして、美魔女の多くはセレブだと。お金持ちや美を追求する元モデルなんかたくさんいるし、そもそもそれと一般人を一緒にさすなと。
自分の子供（小学生）の雑誌をみれば、子供用のお化粧品グッズなんかがでてたりするそうで、こういった流れもそもそもは『美しくあること』至上主義が根っこにあるとも。
おっしゃるとおり。同意見です。
ですが、一美容形成外科医の私の意見も少々はさませてください。
２つだけ。
①フェアではない
いつの時代も国民の消費をあおる勢力というものはいます。
今は『美（特に30代以降の少しお金にゆとりができた世代）』を追求してエイジレスな若返りをしましょう、という流れが主流ですが、歴史を紐解けばそんなに長くは続かないことは推察できます。ですが、小藪さんがこういった発言をすると、場合によってはその流行（ブーム）が自然の流れより少し早く収束してしまうかもしれません。一個人の発言がこれほどまでに影響力があるかどうか、これは小藪さんに賛同する方の数によりますが、何にせよ、そのことに対する責任を小藪さんにはとることができません。
責任をとる必要があるのか？
潜在的にはあるでしょう。意図的ではないにしろ、美容産業は損失を被ることになるわけですし、額が大きくなればそれだけ自分自身の首も絞めることにもなります。
私見を述べれば個人的に小藪さんのご意見に賛同する部分は多いです。
しかし、美魔女を前にして真っ向から、こういった美容産業を否定する、あなたのexcuseとは裏腹に、あなたの発言の受け止め方によって、伝わり方によって、小藪さん自身も思いもよらない誤解を生んだことでしょう。
同じ立場から逆のことが言える方と討論していただきたかった。
そういった意味で今回の発言についてアンフェアであったと考えます。
（つまりこのブログでいうこともアンフェアですが）
②美容医療におけるアンチエイジング治療は決して外見だけにターゲットを絞ったものではないということ
老化にあらがうこと自体は遙か昔より試みられてきましたが、科学的に根拠のある抗老化の手段が次々と明らかになってきているのがこの10年です。これはなにも日本に限ったことではなく、世界的にみても抗老化に対する有効な手段を確立することが至上命題となってきました。
難しい話になってきましたが、要するに
世界中で健康で長生きするために必要な手段が講じられており、そのひとつに見た目が若々しくある、ということがあげられています。そうあることで生活リズムが整うからです。見た目が若々しくあることの恩恵は『年齢の割にきれいね』とか『いつまでも変わらないわね』と言われることだけではないということ。
また、一部のセレブに限らず、普段は自分を顧みずがんばっている女性もたまには自分にご褒美があっていいと思います。それが、おいしいお菓子であっても、ちょっと豪華な旅行であっても、自分への投資であっても・・・。
なので目標のひとつとして『美魔女』というものがあってもいいと思います。
彼らも自分のことをただの神輿だと思っているでしょうし、それ以外の何かがないと生き残っていけるわけがないのです。
ただし、美だけを追い求めるのは間違っています。
他にもっともっともっっっっっと大切な物があるからです。
ここまで書いて、小藪さんから出演オファーがきてしまったらどうしよう・・・・
美容外科医のノート
おしまい