私のアイデンティティーとバックボーンを踏まえた表現を・・・・ Perfumeが教えてくれた。 | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

私のアイデンティティーとバックボーンを踏まえた表現を・・・・ Perfumeが教えてくれた。

今日はPerfumeの撮り下ろしとインタビュー(staffも含む)が掲載された、『装苑』2016年5月号(Perfumeというカルチャー)の発売日。当然購入して帰宅。












メンバー個々のQ&Aが3ページに、衣装解説が4ページ、Perfumeを支える5人のクリエーターのインタビューが2ページの計10ページという充実の内容。













それで早速読んだ。書きたいことは山ほどあるのだが、やはり演出振付家のMIKIKO氏のインタビューが心に残った。 少し感じたことを書きたいと思う。











まずはMIKIKO氏がニューヨーク留学で経験した挫折感についての話だ。






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MIKIKO : ダンス留学でニューヨーク帰りというと、通常、ハクがついたりするのですが、実は私にとって、それはただ挫折しにいったような期間で。」


MIKIKO : もともとアメリカの影響が強いダンスシーンにいた自分が向こうに行って、やっぱりまねごとではダメだなと思ったんです。様々な人がいる中で、何を自分のオリジナリティとするかがすごく求められていたし、主張とこだわりがないと存在がないも同然。


MIKIKO : ニューヨークでは自分の存在のなさに衝撃を受けて自信もなくしたし、何を作っていくべきか見失って帰ってきた状態でした。


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この話は2015年にBSフジで放映された『ESPRIT JAPON』でのMIKIKO氏のインタビューでも語られている。








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*MIKIKO氏のNY留学についての展開から



MIKIKO : 私が行く前(NYへ留学)の日本のダンスシーンは、やっぱり "アメリカのものが見本" になっていて、"黒人っぽく踊る、いかにそれを再現できるか" っていうのが注目されていたんですけど・・・・ なんか・・・・ まあ体型も私は特に[グラマラス]ではないし・・・・ 。」



MIKIKO : やっぱりアレ(アメリカのダンス)は、あの(黒人)体型の、あの血が流れた人たちのダンスだったり、表現方法だなっていうのをすごい感じて。それをまねをしていること自体がすごい恥ずかしいな・・・・って思って。



MIKIKO : 『"創りたい" という欲がほんとうに自分の中にあったのか』というのがわかんなくなって・・・ 自分が。広島にいる頃は求められていたから創りたかったし、教えたかったし、しっかりしたかったし。そうだったのかも・・・ ってふと。『あらっ、もしかしたらそんなに自分自身、"表現する" ということが根底になかったのかしら・・・・』って思うぐらい、いろんなことを考えさせられて。



                                ○『ESPRIT JAPON』・MIKIKOインタビュー(2015年・BSフジ)より

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ニューヨークのダンス・シーンにある意味憧れを持って飛び込んではみたものの、結局、問われたのは自身のアイデンティティーとバックボーンを踏まえた表現だったということだろう。


そして、アーティストとして最も大切な "表現したいこと" を見失って失意の帰国となったのだった。しかし・・・・ 帰国したとき、彼女には "思いがけない救い" が待っていた。







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MIKIKO : そんな中にあって、1年目の生徒のPerfumeが日本で人気になっていたことは、メンバー3人が私自身の表現について『こうでいいんですよ』と言ってくれたような気がして、とても救われたんです。

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ニューヨークで打ちのめされながらも、異国の小さい自室でひとり、「チョコレイト・ディスコ(2007年)」の振り付けを創作し、自らその振り付けをビデオに撮影して、日本のPerfumeに送り届ける・・・・。



その作品がPerfumeが日の目を見るきっかけになったのだ。その事実にMIKIKO氏はどれほど救われ、どれほど自信を取り戻したのだろうか。これが " 演出振付家・MIKIKO " を生み出す原動力になったのだ。





だからこそ・・・・ 今、彼女はこのように語るのだろう。







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MIKIKO : 時々、なんでわざわざこんなに大変なことをするんだ! って思うんですよ。でもそこを少しでも手を抜いたら、バチが当たるような気がしていて。手を抜けるわけがないよねって、チームの中でお互い無言で言い合っているような感じはあります。」



MIKIKO : 何がそうさせるかというと、それは3人が、どんなに難しいことにも応え続けてくれるということに尽きるのでしょうね。


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しかし、これはPerfumeのメンバーにとっても同様のシンパシーを感じている。









*『SWITCHインタビュー 達人達』・志村けん×Perfume(2015年・E-NHK)より







このようにチーム全体がお互いを思いやり、お互いに敬意を払っていることが、Perfumeから放出される力を確実に増幅させることにつながっているのだろうと、改めて思い知らされた。










そして・・・・ MIKIKO氏は今の日本だからこそ、伝えたいこと、表現したいことを語っている。





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MIKIKO : 日本はまだ、女の人が若さを失うことはマイナスだという世の中ですよね。でも本当はそうじゃなくて、年を重ねることは楽しくて、自分自身の財産が増えていくということ。表現だって幅がでてきます。」



MIKIKO : 年齢相応がすてきで肯定したいことだというメッセージは、Perfumeのパフォーマンスを通して、伝えていきたいことの一つです。


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この話を読んでいて、ふと細野晴臣氏の語ったことが、オレの脳裏に浮かんだ。








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*「名ベーシストから学んだこと」とは何か



細野晴臣 : ニューオリンズでクラブに行って、かなり老齢のベーシストのセッションを観てたのね。なんかこう・・・・ 良いんですよ。『なに?! この良さは!!』と。その人を見ていると、お豆腐を(丁寧に)切るようなタイプで・・・ 崩さないように。そーっと弾いてる。」



細野晴臣 : 『これだ!!! この年寄りが良い!!!』 って思った。ミュージシャンのやっぱり、こう・・・・ 年月って大事だなって思うようになったのね。"枯れたミュージシャンの良さ" っていうのをその時に初めて観て。



細野晴臣 : 音楽と戦わなくなってくるというか。なんか"自分のもの" なんですよ・・・・本当に。




                          ○『音楽の学校・schola』・ドラム&ベース編 第3回(2010年・E-NHK)より

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*ミュージシャンの老いについて


ピーター・バラカン : でも結構ね、70代・80代でまだ立派にやってる(演奏する)人はいますよ。」



細野晴臣 : だから、(年を重ねたミュージシャンの演奏は)真似できないんだよ。その・・・ 若い人はね。"老人力" というか(笑)。」




                          ○『音楽の学校・schola』・ドラム&ベース編 第4回(2010年・E-NHK)より


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さてダンス・パフォーマンスを左右するのはスキルや技術、体力だけではない。

それよりももっと大事なことは "年齢に応じた伝えたいこと、表現したいこと" を自身の中に構築できるかということだろう。あとはそれを表現できるようにスキルや技術、体力を磨き、維持していけばよいだけなのだ。





そしてオレは人生経験を重ねて表現の幅が広がり、パフォーマーとしての円熟味が増した、良い意味での "枯れた魅力を演出できる" 30代・40代のPerfumeのパフォーマンスを観てみたい・・・・    







・・・・それを心の底から願わずにはいられない。









さて、『装苑』2016年5月号には関和亮氏や真鍋大度氏、「FLASH」のMVをディレクションした田中裕介氏のインタビューもかなり興味深かった。

特に真鍋氏のインタビューは感動的で、Perfumeファンの方々にはぜひとも読んで頂きたい内容であった。購入して読んで頂くことを強くお奨めしたいと思う。






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