[追記2あり] 風のように舞う " something else " をあつめて・・・・  | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

[追記2あり] 風のように舞う " something else " をあつめて・・・・ 

○オリジナルエントリー・2014年12月31日




昨日はBSプレミアムで放映された『名盤ドキュメント“はっぴいえんど 風街ろまん”』を観た。











オレは中田ヤスタカ氏の音楽を高く評価しているので、このBLOGを訪れる方々はオレのことを "テクノ・エレクトロニカ好き" でYMOなどに傾倒していると思っている方も多いことと思う。





しかしオレ自身としては、特定のジャンルに対してこだわりもなく、Jazz・フュージョンを筆頭に、クラシックやボサノバ、アルゼンチンタンゴ、etc・・・・ と "気に入った響き" であればジャンルなんて何でもいいと思っている。

それでオレはどちらかと言えば、YMOよりかは "はっぴいえんど" の方に心が惹きつけられる。したがって昨日の放送を心待ちにしていた。








番組の内容は『風街ろまん(1971年)』録音当時の8チャンネル・マルチトラックが発見されたということもあって、それを用いてトラックごとの音源を聴きながら、メンバーがコンセプトや制作当時を振り返るといった内容だった。


















まずは "はっぴいえんど" というバンドのコンセプトと結成の話から。











"はっぴいえんど" はロックのサウンドに日本語詞をのせた最初のバンドであることはいまさら語るものでもないだろうが、ではなぜ "日本語詞" にこだわったのか。









細野晴臣氏の語っていることが象徴的だ。












音楽は、憧れているアーティストの形式や手法、機材を真似ても "素晴らしい音楽" とはならない。



結局のところ"素晴らしい音楽" というのはアーティストの "自分らしさを表現した響き" でなければならないからだ。そして"素晴らしい音楽" はアーティストが育った環境や文化が内包され、滲み出てくるような響きだとオレは考えている。









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中田ヤスタカ : 僕には世界を狙って、標準的なものを作ろうという気持ちは全然ないんです。



中田ヤスタカ : 僕が作っているのは完全に日本の音楽です。今も昔もそれは変わらない。外国のことは分からないから合わせることもできないですし。」



中田ヤスタカ : ただ、世界中のどんな音楽でも、その音が生まれた環境、例えば目に見える風景や接する人たちなどに少なからず影響を受けるはず。」

中田ヤスタカ : つまり、日本にいると自ずと日本の音になると思うんですよね。そういう "日本っぽさ" を、他にはないと受け入れてくれる人が増えているのだとしたら、それはうれしいですね。


                                           『日経エンタテインメント!』2012年9月号より

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だからこそオレは "はっぴいえんど" にも中田氏が生み出す響きにも強く惹かれるのだと思う。










そして細野氏の次の言葉が番組後半に胸に深く迫ってくる。














そして話はオレが大好きな楽曲である「風をあつめて」の制作に話が展開していく。"はっぴいえんど" は作曲者がボーカルを担当するというルールを決めていたため、声域が低い細野氏は作曲に相当苦戦したようで。

この「風をあつめて」もレコーディング直前まで曲が仕上がっていなかったようだ。そういうこともあって、マルチプレーヤーである細野氏がほとんど一人で各楽器を担当した。














このような経緯から「風をあつめて」は、収録した演奏や歌唱の各テイクを切り貼りして構成する "パンチイン/パンチアウト" という手法が多用されている。

















次に感動したのが「風をあつめて」の世界観についてだ。










もう語る言葉さえないが・・・・ 



この「風をあつめて」という楽曲の世界観は、ある意味'70年代日本のブルースでもあるんだなぁ・・・・ グッときてしまった。












そして日本人のバックボーンや日本の文化を日本語の響きをのせた「風をあつめて」は、いまや海外でも高い評価を受けている。












「風をあつめて」という楽曲が海外でも高く評価されているのは、海外テイストを模倣したものではなく、あくまでも日本人と日本の文化を感じさせる "日本らしさを表現した響き"  となっているからだろう。



そして今や日本のアーティストが "日本語の響き" をそのまま海外に持ち出し、成功を納めている。Perfumeはその筆頭だろうか。

その理由としても英語に対するコンプレックスを感じさせず、胸を張って堂々と "日本らしさを表現した響き" を打ち出していることが大きく功を奏しているのだろう。





そう考えると・・・ 松本隆氏の言葉は感慨深い。










そして細野氏の言葉が・・・・ 重すぎる。





















風のように舞う "something else をあつめる" ために・・・・ 


今日もオレはスピーカーの前に座る・・・・・














<○追記>



オレは矢野顕子氏がカバーした「風をあつめて」もかなり好きだ(笑顔)。
















<○追記2・2015年1月2日>




このアルバムの録音当時の8チャンネル・マルチトラックが発見されたということを聞いたときに、細野氏はこのように思ったそうで。














それで8チャンネル・マルチトラックの音源を聴いてみて、メンバーの鈴木茂氏はこのように感じたそうだ。















それでミックスをやり直したいと思っていた細野氏もこのように考えたそうだ。












"あるアーティストのファンの一部" は、機材や技術の進化に伴って、安易に過去の音源のリミックスを望む声を耳にすることもあるが・・・・


完成された作品の "その時代の響きと質感を存分に楽しむ" という考え方も、また趣き深い楽しみ方ではないかと思った。











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