★1963年 3代目マスターライン 2代目クラウンの商用車 ~ 自動車カタログ棚から 231 | ポルシェ356Aカレラ

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★前回の自動車カタログ棚シリーズ記事でご紹介した2代目マスターラインは、1959年(昭和34年)3月のデビューから3年半を経た1962年(昭和34年)9月21日、2代目RS40系クラウン
(第102回記事参照) のデビューと同時に3代目トヨペット マスターラインにフルモデルチェンジした。
3代目50系クラウンがデビューする1967年(昭和42年)9月までの丸5年に及ぶモデルライフとなった3代目マスターラインは、2代目トヨエースと共に1960年代を代表するトヨタ製商用車の1台と言える。


★3代目マスターラインは低く長くボンネットが平らな当時流行のフラットデッキ・スタイルとなり初の4灯ヘッドライト採用と併せて大幅にモダナイズされた。
エクステリア・デザインは当時のフォード系に近いシンプルかつ時流に乗った斬新なもので、初期のフロントグリルはトヨタのイニシャル「T」を図案化した独特のものであった。前代よりホイールベース160mm、全長は200mm延長され、全高が一気に90mmも低められた結果、プロポーションは半世紀以上を経た現代の目で見てもさほど古臭く見えない。2代目クラウン同様、従来の梯子型ラダーフレームは重心の低いX型フレームとなり、エンジンは前代マスターライン末期の4気筒1900cc80馬力がそのまま搭載され、モデル末期にはOHC6気筒M型100馬力(型式MS46系)も追加された。
ボディタイプは、ライトバン4ドア(型式RS46V)、シングルピックアップ(型式RS46)、ダブルピックアップ(型式RS46P)の3種となり、2代目マスターラインに存在した2ドアライトバンは姿を消した。



【3代目マスターライン 主な変遷】
・3代目マスターラインの変遷は2代目クラウンの変遷にほぼ準じる。

1963年(昭和38年) 9月
最初のマイナーチェンジ。フロントグリルのT字の下辺が広がり、初期型で涙目と言われたテールライト下のバックライトがリアパネル内に移動。3速マニュアルがフルシンクロ化されオートマチック「トヨグライド」も2速半自動から2速フルオートマチックに進化。

1965年(昭和40年) 7月
2度目のマイナーチェンジ。フロントグリルパターンが少々豪華な印象のデザインとなり、テールライトはそれまでの特徴であった丸型を廃し横型に変更した。

1966年(昭和41年) 10月
3度目のマイナーチェンジ。フロントグリルパターンが更に豪華、少々オーバーデコラティブな印象のものとなり、クラウンより1年遅れてOHC6気筒M型100馬力エンジン搭載車を追加。安全装備の追加。

1967年(昭和42年) 9月
50系クラウンバン・ピックアップのデビューに伴い生産終了。



※ライトバンボディのバリエーションである5ナンバー乗用ワゴンの「クラウン カスタム」については項を改めてご紹介します。


【主要スペック】 1963年 トヨペット マスターライン ライトバン(RS46V型) 1963 Toyopet Masterline Light-Van
全長4690mm・全幅1695mm・全高1510mm・ホイールベース2690mm・車重1330kg・FR・3R型直列4気筒OHV1897cc・最高出力80ps/4600rpm・最大トルク14.5kg-m/2600rpm・変速機3速コラムMT・乗車定員3(6)名・最大積載量500(400)kg・電装系12V・最高速度:120km/h・販売価格80万4000円(ホワイトリボンタイヤ付5000円プラス・トヨグライド付6万5000円プラス)



●四谷消防署 「1967年 トヨタ救急車」 実働写真
(1971年フレーベル館発行 こどもの観察カメラ3巻「じどうしゃ」より)
パトカー、消防車、救急車など緊急車両の写真は子供向け図鑑の類に残されていることが多い。しかし1960年代の車両の写真はなかなか見当たらず、漸く見つけた2代目マスターライン・ライトバン最終型ベースの救急車の写真。車名はトヨペットでなくトヨタで、ドアに付けられたレタリングはTOYOPETでなくTOYOTAになっている。ホイルキャップは通常のマスターラインとは全く異なるシンプルなキャップ型。1970年代の初代ハイエースベースのトヨタ救急車のカタログは発行されているので、あるいはこの車両にも専用カタログがあるのかもしれない。
写真



●1962年9月発行 トヨペット マスターライン 本カタログ (縦25×横26cm・16頁)
トヨタカタログNo. C-36。クラウンの商用車であることを強調するかのように表紙には王冠マーク。
629表紙

中頁から: 扉頁の概説。ここにも大きくクラウンの王冠マーク。
629(1)扉頁

ボディタイプは4ドアライトバン、シングルピックアップ、ダブルピックアップの3種。
629(2)3種ボディ

629(3)斜め写真

バックライトが丸いテールライトの下に付いた涙目テール
629(4)涙目リア

リアウインドはデビュー当初からパワー開閉機構が付いていた。
629(5)リアパワーウインド当初

ダッシュボードのデザインはクラウンと基本的に同一。
629(6)ダッシュクラウン同じ

629(7)横写真

シングルピックアップ
629(8)シングルピック

ダブルピックアップ
629(9)ダブルピック

Ⅹ型フレーム
629(10)X型フレーム

2代目マスターラインから引き継いだOHV1900cc80psエンジン
629(11)1900ccエンジン

2速半自動トヨグライド・オートマチック
629(12)トヨグライド

裏面: 図面&スペック
629(13)図面+スペック




●1962年?月発行 トヨペット マスターライン 本カタログ (縦25×横26cm・16頁)
トヨタカタログNo-36B。9月発行カタログの改訂版。表紙と扉頁の記載のみ変更。
62再版表紙

扉頁: 上掲のカタログと比べると記載内容が一新されている。
62再版扉頁




●1963年?月発行 トヨペット マスターライン 本カタログ (縦25×横26cm・16頁)
トヨタカタログNo・36-D。カタログは全面的に変わったが車両自体は初期型のままで変更なし。カタログナンバーからすると、このカタログの前に36Cというカタログがあるのかもしれない。
63横表紙

中頁から
63横(1)いい写真

63横(2)リアビューライトバン

リアビュー
63横(3)涙目リアビュー

ギラギラと輝くクロームメッキがこの時代の魅力。
63横(4)フロント良い写真

シングルピックアップ
63横(5)シングルピック

ダブルピックアップ
63横(6)ダブルピック

トヨグライド&初期のボディカラー4色
63横(7)トヨグライド+カラー4色




●1963年9月発行 トヨペット マスターライン 本カタログ (縦25×横26cm・16頁)
トヨタカタログNo.38-9-MA。フロントグリル下辺が拡がった最初のマイナーチェンジを受けた際のカタログ。
639表紙

中頁から
639(1)太い白タイヤ

639(2)リアビュー

涙目だったリアテールライトを変更。バックライトがリアパネル内に独立した。
639(3)バックライト独立

639(4)いい写真

全自動となったトヨグライド&小変更されたボディカラー4色
639(5)トヨグライド+カラー4色変更




●1964年?月発行 トヨペット マスターライン 本カタログ (縦25×横26cm・16頁)
トヨタカタログNo.20001。63年9月版と全体の構成は同じカタログだが、太かったタイヤのホワイトウォールが細いホワイトリボンとなり、表紙の車両のナンバーも地名表示なしだったものから「品4」に変っている。
64青表紙

中頁から
上掲のカタログの同じ写真とよく見比べるとタイヤのホワイトウォールが細いホワイトリボンに変わっている。背景その他が全く変わっていないので写真のタイヤ部分のみを上手く修整したもののようだ。
64青(1)細リボンに変更

64青(2)いい写真

シングルピックアップ
64青(3)シングルピック

ダブルピックアップ
64青(4)ダブルピック




●1965年7月発行 トヨペット マスターライン 簡易カタログ (縦20×横29cm・3つ折)
トヨタカタログNo.21001/40.7。2回目のマイナーチェンジ時の簡易カタログ。イラスト主体で表紙が変る変形カタログ。
65簡易表紙

表紙を開くと・・・全面海をバックとしたライトバンが現れる。
65簡易表紙開くと

中面から: シングルピックアップ&ダブルピックアップ
65簡易シングル&ダブルピック




●1965年7月発行 トヨペット マスターライン 本カタログ (縦25×横25.5cm・16頁)
トヨタカタログNo.20010/40.7。2回目のマイナーチェンジ時の本カタログ。
65本表紙

中面から
65本(1)フロント写真

65本(2)リア写真

丸テールを廃し横長テールに変更。
65本(3)横長テールに変更

65本(4)遊園地サイドビュー

シングルピックアップ
65本(5)シングルピック

ダブルピックアップ
65本(6)ダブルピック

ボディカラー4色+図面+スペック。ボディカラーは4色のままだが組み合わせはまた変更されている。
65本(7)カラー4色変更・図面・スペック



●1966年10月発行 トヨペット マスターライン 本カタログ (縦30×横24.5cm・16頁)
トヨタカタログNo.20022/4110。3回目のマイナーチェンジ時の本カタログ。これが最後のマスターラインとなった。
66本表紙

中面から
66本(1)斜め写真

ダッシュボードには安全パッドが付き、メーターパネルの意匠も小変更された。
66本(2)ダッシュ変更

66本(3)コラージュ

シングルピックアップ
66本(4)シングルピック

ダブルピックアップ
66本(5)ダブルピック

2000cc6気筒OHCのM型エンジンを追加
66本(6)6気筒M型エンジン追加

トヨグライド
66本(7)トヨグライド

小田急3100形ロマンスカーとマスターラインライトバン
66本(8)小田急3100

皇居前を走るライトバン。背後に2代目トヨエース、初代パブリカバン、横目H31セドリック、S4グロリアタクシーなども写っている。
66本(9)皇居前トヨエース他

M型エンジン搭載車(MS46系)が追加されたスペック
66本(10)スペック





★オマケ(その1): モデルペットNo.21 1/42スケール 1964年トヨペット マスターライン ライトバン
1964年2月アサヒ玩具 発売。当時定価350円。ダイキャスト製。ボンネット開閉アクション付。5ナンバーのトヨペットカスタムは大盛屋が1963年型と1964年型をモデル化し、その後、ダイヤペットに1964年型の金型が流れて救急車およびプロモーション用モデルとして東芝カーを出しているが、マスターラインのミニチュアはモデルペットが最初のMC後のフロントグリルの下辺が拡がった1964年型をモデル化した。青は子供の頃に遊んだミニカーなので思い出は詰まっているが傷だらけ。
モデルペット(1)
モデルペット(2)
モデルペット(3)




★オマケ(その2): モデルペットNo.21SA 1/42スケール 1964年トヨペット マスターライン 救急車
1964年5月アサヒ玩具 発売。当時定価380円。ダイキャスト製。JMAC会長 中島 登氏の保育社カラーブックス「日本のミニカー」(初版1977年11月)によれば、観音クラウンベースの2代目マスターライン救急車(品番No.2SA)が1963年7月に発売された後、1年も経たないうちにこの3代目マスターライン救急車がリリースされたようだ。
救急車(1)
救急車(2)
救急車(3)




★オマケ(その3): 短編フィルム 「1964年 高速道路の正しい走り方」
名神高速が開通した際のドライバー向け映像。7:05位から3代目マスターラインピックアップのランデブー走行、9:00位に一瞬だけ3代目マスターラインライトバンのパトカー、その他懐かしい国産車が多数登場。高速を走る空荷のマスターラインピックアップはリアがひどく浮き上がって見えます。