★VWカルマンギア セクシー&グラマー アグネス・ラム ~ 自動車カタログ棚から 139 | ポルシェ356Aカレラ

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2012年6月2日に自動車カタログ棚シリーズの第1回2代目クラウンタクシーをアップして、ちょうど今日で丸1年となりました。
記事のアップまでには、原稿作りや写真の用意に相当な時間がかかっているので(下手すると1つの記事を作るのに丸1日以上かかります)、よく1年続いたなあという気がします。いつも興味をもって見て下さる方、とりわけコメントを下さる方々のお蔭で続けてこられたような気がします。
記事に出来る自動車カタログはまだ手元に山のようにあります。問題は時間がないことなのですが、これからもマイペースで出来る限り長く続けていこうと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。



フォルクスワーゲン・カルマンギアは、ワーゲン・ビートル(タイプ1: このシリーズ135回目でご紹介)をベースとして1955年(昭和30年)に登場したスペシャリティカー。ビートル・シャーシをベースにイタリアのカロッツェリア・ギアがデザインした2+2クーペ・ボディを、ドイツの名コーチビルダー・カルマン社が製作したことから「VWカルマン・ギア」と名付けられた。
フラット4(空冷水平対向4気筒)搭載のリアエンジン車としてはポルシェ356が有名だが、ビートルベースのカルマンギアはポルシェのようなスポーツ性能よりも曲面で構成されたグラマラスで美しいデザインを最大のウリとした。多くの人の心の琴線に触れるような美しさが人気を呼び、北米を中心に大ヒットモデルとなった。ポルシェと同じく西独生まれでスタイルも抜群に良いことから、前項で紹介したシボレー・コルベア以上にプアマンズ・ポルシェ(poor-man's Porsche)とも言われた。大衆車ビートルがベースの為にメンテナンスが楽なことと誰が見ても美しいボディがカルマンギアのヒットに繋がった。

★カルマンギアは当初、1200ccのクーペで登場し、2年後の1957年(昭和32年)にカブリオレを追加、1959年(昭和34年)にはテールライトを初期の角型から長楕円形に変更、1965年(昭和40年)にエンジン排気量を1300ccにアップ、翌1966年(昭和41年)には1500ccにアップすると共に電装系を6Vから12Vに変更、1969年(昭和44年)には更に1600ccにアップすると共にライト類の意匠を小変更、1971年(昭和46年)にリアテールライトの大型などで大幅な近代化が図られた後、1973年(昭和48年)に19年の生涯を終えた。
これとは別に1961年にはVWタイプ3(1500/1600)をベースとして窓面積が広く少々角ばったシボレー・コルベアを彷彿とさせるような少々アクの強いデザインのカルマンギア「タイプ3」も登場したが、オリジナル・カルマンギアのような万人の心に響くような美しさを持っていなかったために販売は低調なまま1969年(昭和44年)までに生産を終えた。
19年間に及んだカルマンギアの生産台数はクーペが約36万台、カブリオレが約8万台。戦後の欧州製スペシャリティカー/スポーティカーとしては大ヒットモデルとなった。

★カルマンギアを愛した有名人と言えば、アグネス・ラム(Agnes Nalani Lum 1956年5月21日-)。
オレンジのカルマンギアと彼女の写真は1970年代の全盛期に公開されて、グラマラスなカルマンギアとアグネスのコンビは最高に似合ってみえたもの。オアフ島でカルマンギアをゆったりと流すアグネスの姿はとても魅力的だったことでしょう。このアグネスが愛用したカルマンギアの実車は現在、日本国内にあるらしいです(アグネスファンが購入?)。その後、カルマンギアを手放した彼女はポルシェ356を愛車にしたとのことですが、情報のみでアグネスの356については写真などの実証が見当りません。何れにしても空冷リアエンジンの美しくグラマーなカルマンギアやポルシェ356とアグネスはよく似合いそうです。
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$1959PORSCHE356Aのブログ-アグネスラム

※アグネス・ラムについては、2012年10月22日のこのシリーズ74回目のスプリンターリフトバックの記事をご参照ください。


【主要スペック】 1955年 フォルクスワーゲン・カルマンギア (Volkswagen Karmann Ghia)
全長4140㎜・全幅1634㎜・全高1330㎜・ホイールベース2400㎜・車重810kg・RR・空冷 水平対向4気筒OHV1192cc・最高出力30ps/7.7kgm・最大トルク6.9kgm/2000rpm・変速機4速MT・前後ドラムブレーキ・乗車定員2+2名(リアシートは緊急用)・最高速115km/h


●1955年? カルマンギア 本カタログ (縦19×横31cm・3つ折6頁・英文)
カブリオレが掲載されていないので、1955年か1956年の初期モデル。初期のテールライトは角型。黒地の洒落た表紙イラストは名の通った画家によるものかもしれない。
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※中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-黒55年1中
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※裏面スペック
$1959PORSCHE356Aのブログ-黒55年3スペック


●1959年?カルマンギア 本カタログ (A4判・10頁・英文)
左右のフロントグリルのスリットが2本から3本になり、テールライトが長楕円(通称:柿の種)となった1959年以降の1200ccモデル。同じ表紙でスリットが2本の1958年版やダブルバンパーでないカタログもあり、比較的長期間この表紙のカタログの時代が続いたようだ。
$1959PORSCHE356Aのブログ-白59年表紙
※中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-白59年1中
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カブリオレ
$1959PORSCHE356Aのブログ-白59年3中カブリオレ(1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-白59年4中カブリオレ(2)
$1959PORSCHE356Aのブログ-白59年5中カブリオレ(3)
$1959PORSCHE356Aのブログ-白59年6中


●1963年8月発行 カルマンギア 本カタログ (縦21×横23cm・18頁・英文)
1200ccの最終モデル。「ドアを開けて」とだけ書かれた表紙を開くと室内が現れる洒落た構成のカタログ。
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※中頁から
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$1959PORSCHE356Aのブログ-青63年5中
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●1971年8月発行 カルマンギア 本カタログ (A4判・24頁・英文)
テールライトが大型化された最終モデル。アグネスラムの愛車だったのはこの最終型。
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※中頁から
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$1959PORSCHE356Aのブログ-黄71年3中
$1959PORSCHE356Aのブログ-黄71年4中
大型化されたテールライト
$1959PORSCHE356Aのブログ-黄71年5中テールライト大型化
$1959PORSCHE356Aのブログ-黄71年6中
標準ボディカラーは11色
$1959PORSCHE356Aのブログ-黄71年7中ボディカラー11色



★オマケ(その1): アメリカに棲息するカルマンギア画像クリップ集
いかにもアメリカらしいカスタムカーが多いがオリジナル車や当時の広報写真に加えて記事で紹介したカタログの画像も登場。



★オマケ(その2): 英国ディンキー1/43スケール VWカルマンギア
全長9.5cm。ダイキャスト製。室内にシートもない素朴な造りながらグラマラスなカルマンギアの魅力がよく出ている傑作モデル。実車の初期モデルと同じツートンカラーが洒落ている。カルマンギアのミニカーは当時物ヴィンテージ・ミニカーだけでも大盛屋のカブリオレなど他にも相当な種類が発売されている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-ディンキー(1)
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★オマケ(その3): カナメ産業 1/21スケール VWカルマンギア
全長19cm。TIN製。1959年(昭和34年)頃の製品。加藤要氏のカナメ産業はボンネットバスなどのモデルで有名。同時期にカナメ産業が発売していた1958年ポルシェ356Aハードトップと同じホイールキャップを付けている。
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