抱擁のかけら-★★★- | not simple.

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あるときはさすらいの本読み、あるときはジャンル無用の映画好き、またあるときは、B級グルメの備忘録

$not simple.-抱擁のかけら
(C) Emilio Pereda&Paola Ardizzoni / El Deseo
英題: LOS ABRAZOS ROTOS
製作年: 2009年
製作国: スペイン
日本公開: 2010年2月6日
上映時間: 2時間8分
配給: 松竹
カラー
公式サイト
監督・脚本: ペドロ・アルモドバル
キャスト:ペネロペ・クルス、ルイス・オマール、ブランカ・ポルティージョ、ホセ・ルイス・ゴメス



愛する人と視力を失った14年前の事故を封印し、名前を変えて生きる脚本家のハリー(ルイス・オマール)。
かつて、ハリーは新進気鋭の映画監督だった。
ハリーは主演女優のレナ(ペネロペ・クルス)と激しい恋に落ちるが、レナには権力のあるパトロン、エルネスト(ホセ・ルイス・ゴメス)がいた。ある日、逃避行先の島で、二人を悲劇が襲う。
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今年の12本目です。
この作品から14本目まで3本連続で観ました。
かなり大変だったなぁ~。

非常に難解な作品です。
ミステリータッチなのかと思えばそうでもなく、かといってすごいメロドラマでもないんですよね~。
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根幹の話としてはこの二人の恋愛物語。
映画監督と新人女優が恋に落ちる。とくに恋に落ちていくシーンはなくていきなりもうそういう感じになっている。離れがたい感じと言うか。
問題は女優のほうにパトロンがいたって言うこと。

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しかしペネロペ・クルスは美人だねぇ。

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うまいんだかうまくないんだかよくわからないっていう演技だったけど。
何でかなーとか思ったら、映画を撮っているシーンで、NGもOKも撮ってるって言う設定だから。
ピンボケ演技をするということもストーリー的に大事だし、もともと大根という設定でもある。
そう考えるとすごい人だなー。

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ストーリーの根幹としては愛の物語なんですけども、クリエイターとしての生命を絶たれた男の再生の物語でもあり、家族の物語でもあるんですよね。
主人公は本名(&監督としての名前)と作家としての名前があるんですけど、ある事件のあと本名で呼んでもまったく反応しなくなる。
14年後、ある人物が彼を訪ねてきたことから、過去をやっと振り返ることが出来るようになるわけです。

全然写真素材がなかったんですが、失明した主人公を支えるエージェントとその息子との関係がいいんですよ。
きっかけは愛人のエルネストの息子が尋ねてきたことですけど(これがまた、若干マザコンでホモですべてを観たくてしょうがない、でも考えない!ってキャラ)、過去を振り返り、自己というものを再生していく過程をたどれたのはこの二人によるものが大きいと思うんです。

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愛の物語としてはやはりエルネストがすげーこええ。
映画上のストーリーとしては、彼が死んだことを知らされることで幕開けになるんです。
主人公としてはもう、誰を恨めばいいのかわからない感じですね。
エルネストの執着がもうこれはとんでもなくすごくて。

もともとヒロインが彼の愛人になった経緯が、彼の秘書だったわけですが、どう考えても下心ありあり。彼女のお父さんが重度の癌にかかってしまい、病院を放り出されたろころからじわじわと包囲網を縮めていくわけです。ヒロインが昔怪しい仕事(たぶん高級娼婦)をしたことも突き止めており、彼女がその道に戻ろうとしたら顧客になる準備をしてたり(苦笑)

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まぁ、ヒロインも結構楽しそうに愛人やってたんですけどね~。
ただ、ほかの男に目移りしたヒロインへの恐ろしいまでの執着心は画面からかんじました。
あの狂気じみた執着は一見の価値ありかも。

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ペドロ・アルモドバルの作品は本当に多角的な感想が出ちゃうので最初見たときは本当に訳がわからない感じになっちゃいますね。でも好きだけどw

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