螺鈿迷宮 | not simple.

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あるときはさすらいの本読み、あるときはジャンル無用の映画好き、またあるときは、B級グルメの備忘録

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この病院は、あまりにも、人が死にすぎる――
日本の医療界を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」から一年半。その舞台となった東城大学に医学生として通う天馬は、留年を繰り返し既に医学の道をリタイア寸前だった。
ある日、幼なじみの新聞記者・葉子から、碧翠院桜宮病院に潜入できないかと依頼を受ける。
東城大学の近隣病院である桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、終末医療の最先端施設としてメディアの注目を集めていた。
しかし、その経営には黒い噂が絶えないという。天馬は介護ボランティアとして桜宮病院に通い始めるが、ある時から疑念を感じる。「この病院、あまりにも人が死にすぎる」と……。

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「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラル・ルージュの凱旋」から7~8ヵ月後の話です。
白鳥のうわさの部下、姫宮が登場します。
「ジェネラル・・・」でもなんともいえないキャラだったんですが、本当に全壊・・・もとい全開モードで飛ばしてます。
氷姫なんてあだ名つけられてるし、試験は一番で入省してるし、暇だからって司法試験とっちゃうし、どんなクールな女なの!?とおもってたら、とんでもキャラだったという。。。

バチスタシリーズで何度か登場する桜宮病院が舞台です。
お寺も併せ持つ病院で、末期でどうにもならない患者ばかりが収容されています。
そういうと非常に陰気な感じがしますが、そういうわけではなく、非常に元気なおばあさん3人が登場したり、軽妙で明るい文章はそのままです。

おさななじみの新聞記者葉子に頼まれて、桜宮に潜入することになった落ちこぼれの医大生、天馬大吉。
最初は医療ボランティアとして入ったのですがどうにもドジな姫宮のおかげでなぜか入院することになってしまう過程などかなりおかしいです。
こんな看護士がいる病院は怖くていきたくないですね。

ストーリー的には、横溝チックなアイテムがそろうんですがなぜか妙に牧歌的です。
ただひたすら入院患者が死んでいきます。
その奇怪な死にかたを受け入れている人々がどうにも奇妙です。
ただ、バチスタもそうだけど、本作もいろいろ言いたいことがあって書いたんだろうなーと思います。
末期治療に対する作者の提言がちらほらみえます。