魅せられないものは見せるな | バイバイ福岡39

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20110707〜20160515福岡在住時に頂いたものの記憶。

カウンタから厨房の中の様子がよく見える店がある。志成さんなんかもそれはそれは厨房の方の手元までよく見えて、うどんと天ぷらのできるタイミングを合わせておられるのとかまでよくわかって、飽きずに丁寧な仕事を堪能できます。そういう店なら多少待たされても出てくる品への期待が高まるばかり。

でもね、厨房の中をよく見える店のくせに、そんなの見せてほしくなかった、という店もけっこうある。

ここから記すのは、もうすでになくなった3店舗でまのあたりにした事例。

まずは、大正通りにあったラーメン店なんだけど、こちらは昭和のスナックと言わんばかりのカウンタと調理台の区別が曖昧で、その後ろの棚には木もしくは合成材の扉があるお店。
で、ピークは過ぎてるもののランチ時間帯だしラーメンを頼むわけです。
そうすると、カウンタに座った私には調理しておられる方の手元まで丸見えなわけで、ラーメン鉢を温めるでもなく麺を茹で始め、茹で上がった麺をスープの入った鉢に入れてから冷蔵庫を開けて、ネギやらキクラゲやらすでに切ってあるチャーシューやらを特に温めることもなく冷蔵庫から出したままトッピングするのとかも見えるわけです。

そら、ピーク時間帯以外はトッピング類は冷蔵庫に入れておく方が品質の劣化が避けられるとは思います。
でもね、それを温めもせずそのままトッピングするのを眼の前で見せつけられるとね、なんか違うな、と思ってしまうわけです。
チャーシューをトッピング前に切り分けて炙ったりレンチンしたり、煮玉子をテボで温めたり、丁寧な仕事を見せてくださる店もあるなか、そういう仕事をされてしまうと、そんな仕事をしたいなら客から見えないクローズドキッチンにしてやってくれんかな、とか思ってしまうわけです。そうすればそういう仕事をしているかなんて、私の味覚では食べただけではわかりませんから。



次は、大正通りに某地域一番店との触れ込みのお店が進出してきたときのこと。
私も早速行きましたさ。そこもカウンタに座れば調理過程が全て見える造り。
こちらは温めていない鉢にスープまで全部注いでから麺を茹で始めはるわけです。ま、福岡に来てからスープを作ってから麺を茹で始めるのには慣れました。固い麺が好みの方だと茹で時間数十秒だったりするので茹で始めてからスープ用意してたら間に合わないかもしれない気もしますしね(それでも鉢は温めて欲しい気がしますが)。
で、スープを作っておられるのを見ていると、鉢の中にいろいろなものが入っていき、手際がいいな、と思いながら眺めてたわけです。そして最後に胡椒、これをね、鉢なんて見ずにまるであさっての方向向いて振られたわけですが、鉢の端の方に少し掛かったもののほとんどは鉢には入らず、もちろんスープにも入らず、そのまま次の仕事に流れていかはって。
その瞬間、手際がいい仕事をする店員さんが転じて、雑なやっつけ仕事をする店員さんに。
せめて、スープに入らず鉢に掛かってる胡椒くらい拭けよ、それなら許せるから、とか思うんだけどそのまま。しかも、目の前で作っておられるんだからそのまま私の前に置きやいいだけなのに、わざわざカウンタの端からホールの店員さんに渡して、持ってきてくださるわけ。その店員さんが満面の笑みで、お待たせしました~、と来てくださるので、いつもならいい店だなぁとか思うんだろうけど、胡椒が鉢に掛かったまま持ってこられるものだから、あなたも胡椒がラーメン鉢に掛かっててもなんとも思わないわけね、とか思ってしまって。
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正直、ラーメン鉢に胡椒が掛かってても、目の前で雑な仕事を見せつけられてではなかったら、クローズドキッチンのお店でだったら、そんなこともあるか、と思うだけでしょう。
でも目の前であさっての方向向いてやられるとね、なんだかね。
食べてみると、某地域1番店というだけあって、たしかに美味しく通いたくなる店だとは思った。でも雑な仕事をする店員さんのいる店だと思うとね、半額クーポンとかランチパスポートとかがあるときしか使わない店になりましたね。ちなみにその後行ったときには、麺を茹で始めてからスープを用意しておりましたね。最初のときの店員さんが特別ひどかったようでした。



もうひとつは、もう10年ほど前、東京は中野に住んでたとき、駅の北口のライフの近くに俳人の俳号を冠するチェーン店がありました。
こちらのラーメン店は麺を一人前ずつテボでゆがくのではなく注文が入った分だけ釜に泳がせて金網で取り分けるタイプ。でもその金網で一人前ずつ取り上げるのがモタモタモタモタしているわけだ。そういうのが全部めに入るので当然それに気づいて、そしたらその横にもう一人おられて。どうも、新人アルバイトさんが麺上げをしておられて横に指導係がいるということのよう。その近くにはラーメン鉢が5つ。あまりにモタモタしているので、ちょうどその麺上げしておられる上に秒針付きのアナログ時計も掛かっているから時間を測り始めました。
麺上げが終了したのはそれから3分40秒後。このチェーン店の麺は、福岡の麺より太くはあるけど太すぎることはないので、たぶん茹で時間3分か長くても4分くらいだと思う。それなのに、モタモタモタモタしているので測り始めてから3分40秒だから、たぶん麺上げし始めてから5分ほどかかってすべての麺をラーメン鉢に移し終えたようなんだよな。
そら、ラーメン好きとしては、アルバイトさんとかを雇って人件費を抑えているからこそのこの価格なんだろうとは思います。だからアルバイトに経験を積ませなきゃならないこともわかります。
でもね、やはり目の前で自分がお金を払うものをアルバイトの練習用にされてしまうとね。
これなんかも、クローズドキッチンでいきなり柔らかい麺のラーメンが出てきても、たまにはこういうこともあるか、みたいなことで終わるのに。わざわざ目の前で見せつけられるとね、アルバイトに経験積ませるために私のラーメンは犠牲になったんだ、とか思ってしまうし。
ほんとチェーン店なんだから、クローズドキッチンのお店も作って、アルバイトはとりあえずそのクローズドキッチンのお店で学んである程度できるようになってから丸見えのお店に出て行く、とかしてくれたらなぁと思う。


クローズドキッチンではなく、客から調理の様子を見えるようにしたなら、店員さんは客から見られているということを常に頭に置いておいて欲しいな。特にラーメン店は提供まで数分のことが多いから、本とか読むなんてことはなくついつい店員さんの動きに目が行きがちだから。
私としては普通に楽しく食事したいだけなのに、いい加減な仕事とか店員さんとか見せられると食事の前に萎えてしまう。

カウンタから厨房の中が見えるとしても、手元まで全部見えるようにするのではなく、棚とか食器とか並べて手元までは見えないように胸から上くらいだけ見えるようにするとか、いろいろやり方はあると思うんだけどな。

ま、とりあえず、魅せられるものだけ見せて欲しいということ。雑な仕事をわざわざ見せてくれなくていいよ。

私はタバコの煙が嫌いなので、初めて行く店には開店直後に行くことが多い。11時とか11時半とかオープンの店ならよっぽどの人気店でない限りオープンしてすぐに客が押し寄せることもないので、他の客がタバコをすわはる前にさっと食べて帰るつもりでね。
そしてそんな店のそんな時間帯だと12時すぎのピーク前なのでまだ仕込みとかしておられたりする。そのお店もそういうお店で、開店直後は若い方1人だけだったんだけど11時45分頃にもう1人年配の方がカウンタに入って来られて、冷蔵庫から何やら食材出したり包丁とかも用意されたりしてて、ああ何かランチ用の準備されるんだろうな、と思い見ていた。
そしたら、包丁を使って仕事に入る前に気合を入れるためか、帽子を外して整髪剤で固めてあるらしき髪を撫でつけて帽子をかぶり直して、そのまま食材を手に包丁を使い始めはって。
え〜っと、手を洗わなくていいの?
整髪剤で固めた髪をなでつけた手でそのまま食材触るの? それを客に見せるの? そしてその食材を客に出すの?
まぁ、私はほとんど食べ終わってたし、その方の切ったものを口に入れずにすみましたが、とりあえず二度と行かない、誰かに誘われても断る店に認定いたしました。

ほんと、客にどこまで見せるかはお店の方自身が決めることなんだから、見せると決めた範囲内では客に不快感を与えないようにしていただきたいものです。