美容室のための店舗運営計画策定講座(1) | みんなの【分かる】と【分かり合える】のお手伝い!KIマネジメントコンサルタント町さんのブログ

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KIマネジメントを理解すれば、嫌いな数字が共通言語に変わり、辛い作業が未来への取り組みに変わります!

『結局のところ、行先はアメリカですか?オーストラリアですか?』



言葉は優しいが、真壁の口調は明らかに不機嫌だった。

先輩美容室オーナーから『一度会った方が良い』と勧められて真壁に逢う約束をした竹中だったが、決して乗り気とは言えなかった。



『先輩に会った方が良いと言われたから、と言う理由だけで時間を使うのは、二人にとって有意義とも言えないですから、手短にご説明します。

今の、と言うか今までの竹中さんは、“経営”をしていたのではなく、運営の延長線上で業績を伸ばしてこられました。

が、それもスタッフ数が30名、または3店舗目を出店した時に、必ず組織として問題が発生します。

と言うより今のスタッフ数で既に支障をきたしているかもしれません。』



何だこの人?

会って30分もしない内に分かったような事を言って・・・。

確かに先輩である坂上さんから、『絶対に勉強になるから』と言って紹介してもらったのは事実だが、だからと言って“時間の無駄”という感じの事を言われても・・・



『竹中さんは先ほど、“毎年の計画書があるから、業績がここまで上がっているし、心配はしていない”と、おっしゃいましたよね?』



そりゃ、うちの店は生産性では他サロンに負けてはいない。

12月だけでなく、年間平均でも70万円以上の総生産性を稼ぎ出しているんだから、業績に関してはそんなに心配しちゃいない。

それもこれも、毎年合宿で立てている計画書があればこそ出来ている業績だ。



『だったら、毎年のように幹部の方がお辞めになっている事と、ジュニアスタイリストの数字が伸びない事は、どの様にご説明を?』



そんなものは仕方ない。

幹部と言っても皆結構な年齢になってくれば自分のしたい事も芽生えてくるだろう。

それにジュニアスタイリストの数字が伸びないのは、世間的に不景気なのだからどこのサロンでも同じじゃないか。



『竹中さんのお店の計画書は、“イベントカレンダー”を毎年毎年更新しているだけのように見受けられます。

これでは幹部も育たないですし、ジュニアスタイリストの数字を創ると言った根本的な問題は解決しません。』



確かに、合宿では毎年昨年の反省を踏まえて、皆のやりたい事を実現しようと言ってはいるが、現実的にはカレンダーの中でどんなキャンペーンをするとか、社員同士のコミュニケーションをどの様にとるとか、そういったイベントを洗い替えているだけかもしれない・・・

でも、それもどこのサロンでも同じような物じゃないか。



ようやく僕は質問してみる事にした。

ちょっと、いじめてやろうという気持ちも込めて。

『じゃぁ、真壁さんのやり方で計画を作れば、幹部は辞めないしジュニアスタイリストは成長するというのですか?』



『幹部はもっと辞めるかもしれないですし、ジュニアスタイリストは不満を口にするかもしれません。』



それ見ろ。

結局コンサルタントなんて、自分の都合の悪い部分は曖昧にして、今の問題点だけを大げさにあおるんじゃないか。



『が、それは必要な事だと思っています。』



どういうことだ?

必要な退職なんてあるわけないし、これ以上スタッフの不満が出てきたら、たまったもんじゃない。

『それは困りますよ汗



『ですから、聞いているんです。行先はアメリカなのか、オーストラリアなのか?と』

『何の事ですか?』

『計画と言うのはよく航海図に例えられます。竹中さんのサロンは、航海図もないのに暗闇の海の中を全速力で走っているように見えるんです。』



確かにそうかもしれない・・・。

今までスタッフも自分も若いからと言う理由で、あまり先の事を考えさせずに、と言うより考えずに突っ走ってきた。


しかし、幹部と呼ばれる仲間たちが結婚をする頃になると何故だか退職していった・・・。



『航海図、つまりサロンにとっての運営計画は、“今年何をする”事を明確にする為に作成するのではなく、“私たちにとって理想の状態はどこなのか?”を明確にするために作成すべきです。

となると、乗組員は自分がオーストラリアに乗ると思って乗った船が、実は行き先がアメリカだったと分かれば、なるべく早い段階でその船から降りた方が賢明なのです。』



そうか・・・

僕は確かに“全力で走る事”をスタッフたちと楽しんできたが、どこへ行くための航海なのかは、自分自身も曖昧だったのかもしれない・・・。



でも毎年年間計画を作る時にはみんなの夢や目標を一つに・・・

出来ていただろうか?

本当に自分たちの夢や目標を実現させるための年間計画になっていただろうか?



いつの間にか“業績を上げる為”の、“カラー比率を引き上げたり紹介客数を増やす為の”計画になっていなかっただろうか?



『経営計画を策定する前に、まずは今の運営計画を見直すところから始めては、いかがでしょうか?』

真壁さんが帰った後も、僕の頭には真壁さんの言葉が残っていた。

“暗闇の海の中を全速力で走っているように見えるんです・・・”か。



真壁さんに帰り際に手渡された案内に僕は名前を記載した・・・。




店舗運営計画策定講座


*決して2月から始まるセミナーの勧誘ではございません。

いや・・・決して皆さんに申し込んでいただこうなんて・・・



お待ちしてま~すパンダ