パナマ文書は難しい、けどとても重要だから② ~細かい話し編~ | すてさん

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今日タックスヘイブン銘柄で動きがあったのは、NHK三井住友FGといったところか...。
それとこんなのもある。
英で「腐敗防止サミット」***共同通信

いや、個々を叩くのは早計!ってゆうメッセージを伝えたかったのが前の記事なのでね。第一名前が挙がっているほんの一握りの法人群も、個々個別に見ていかなければ何も分からないわけだし。
真っ直ぐな意味での“租税回避”の問題として捉えるならば、NHKだって創価学会だってそもそも非課税だしね。


タックスヘイブンというのは租税回避地という意味だ。
だから租税回避できる国や地域であることは間違いないわけなんだけども、それと同じぐらい重要なのは、匿名性や秘匿性にある。

税制優遇という意味でのタックスヘイブン国家及び地域の場合は、とりあえず管理はされてるわけだ。当該当局に把握されている。
ところが無税国家の場合だと、そもそも個々の収入だなんだなんて真剣に把握しておく必要がない。今回のパナマ文書で多く発覚したバージン諸島、それに一番有名なケイマン諸島なんかはこのパターンにあたる。
それ以外であっても、便宜上や手続き上いかようにもできるタックスヘイブンはあるようで・・
それらの特性を組み合わせて、誰の資産がどう動いているのかを分からなくすることができるのが、大きなメリットだ。(あ、やる側のね)

そういう活動ってのが、随分と以前から非難を浴びてきたマネーロンダリングだテロ資金だという部分。
偽ドル札云々で北朝鮮が制裁を受けていたことがあったけど、確かあの時一番効果があったのが、マカオの銀行口座を封鎖したことだったはず。

そして何があっても顧客の情報は明かさない!ということで有名なスイス銀行(そういう銀行はないけど、ひとくくりで呼ぶ総称)なんて話しもよくあった。
かつては、アメリカ国家に脅されても開示しないようなものだった。
今は開示するようになってるけど。

というように・・
タックスヘイブン活用法人個人のリストで信頼できるものなど、そもそも存在しないか流出しないハズだった。
ところが今回のパナマ文書とは、その事務的手伝いをする法律事務所の顧客リスト。
なので名義や名前がいい加減ということはありえない。
口座や名義の設置先であるタックスヘイブンで管理される名前を「すてさく」としようが「すてさん」としようがそれは可能だ。何なら両方あるとして、その国家が把握してるのは「すてさく」だけだったりもする。ところが、その口座なり法人なりが、ちゃんとしっかり私のものであると結びつかなければ元も子もないわけで・・ その手続きをやってる法律事務所の情報は必ず私自身にたどり着くものでなければならない。

だから今回のパナマ文書の大きな意義は、正確な顧客リストであるという部分にもある。


話しは前後するが、そもそも非課税な法人がここに口座を作る意味・・・
それはきっと何らかの資金をここにプールしておきたかったとか(そっから先の用途に使いたい、運用したい、内部の一部が予算を確保しときたかった等)そういうことであろうことになる。

電通経由のワイロなんかは、匿名性がポイントだったわけだ。
まま、これについてもメディアが大きく取り上げない理由ってのは、まず、当然ながらわざわざ日本に不利益をもたらすことなんかないということ。それと、別にその委員だけが受け取ってたわけでもないだろうし、いつでもどこでも世界とのそんなような戦いは繰り広げられているもんだ。
どんなに素晴らしいものであっても、そういう利益誘導がないと動いてくれないような委員など確かに存在するだろうし... つまり自ら騒ぎにしてしまうことはない、ってゆう話しだ。

世界は思ってる以上に奪い合いの世界。



でもってみんな知ってるのに放置されていたこのタックスヘイブンだけども、欧米が動けば簡単にどうにかできた・・ かっていうとそういうわけにはいかない。(とゆうか、その発想の方向性は決定的に間違っているんだけど、それは第三弾の“大きい話”で。)

税制というのは、それぞれの国に事情や歴史があり、それぞれの国を運営する政府単位で決めるべきものだ。だので他国にとやかく言われるべきものではない。
イギリスオランダアメリカ領であることが多い島々方面のタックスヘイブンは、一応さしたる産業も育たないから租税回避地としていくらか外からの人やお金を呼び込むことで国家を運営していく戦略だということになっている。

また、そういう島々系ではないタックスヘイブンの場合は、税を低くすることで企業を呼び込む戦略的な税制をとっている。


だのでね、たとえばケイマン一国をどうにかしたところで、活用する法人個人はほかのタックスヘイブンに逃げてしまうだけだ。
なので全部一斉に何かしらの制度を設けないと意味がなく、他国の税制に一斉に介入するなど、無理だろう。
というかそもそも世界の大企業や大富豪が活用してきたんだから、そういった本気の活動など起こるはずもなかった。

そういうわけで、犯罪資金のマネーロンダリングだテロだというたびにタックスヘイブンの是非が問われることはあっても、世界の意思が一つにまとまるわけもなし.. 信念を持って、自由な経済活動を侵食させないような考え方を通している可能性もあって、今まではことが動かなかった。

が、911やリーマンショックあたりから潮目は変わり始める。
既に大規模犯罪や大規模テロに対しては個々案件でどうにかできるようにはなってきていた。そこに輪をかけて、実態の見えない大きなマネーたちが国家や国家間連携だけではもはや制御できない規模になってきた。
だのでアメリカなんかはオフショア利用が当たり前だったにも関わらず、悪質というか行き過ぎだと思われるケースは強引にでも自国企業から税金をぶん取るようになってきた。

“自由主義という名の正義は失われた”という解釈もできるような潮目の変化。
ピケティさんブームだったり、格差拡大ブームが訪れる。
OECD各国の徴税機関も連携して、きっちり税金を取る活動をし、それを妨げるパワーは発動させずらい世の中になってくる。各国は財政出動で国庫が苦しい。世界一斉にやれるのなら、大企業や大資産家が他国に逃げる心配もいらない。


と、こういう流れがあって、ようやっとこのタックスヘイブン問題に真剣に向き合う今が来たんだ。
パナマ文書について、CIAとかアメリカが云々といった話しも目にするけど、これは意図的であってもそうじゃなくてもどっちでもいいこと。(どっちでも良くないのは、これを陰謀論的なものに結び付けたい勢だろう。)
とにかくようやっと世界は伏魔殿に乗り込めるようになったということ。
法で負けなければあとは自由に奪い合っていい世の中が、そうではなくなった・・ ということで、だからこれはあくまでも世界がメインの話し。
だから日本の法人を日本人自ら責めてもしょうがない話し。(個人は全員アウトだけども。問答無用で。)

法人税値下げ競争はやめようよ!活動も世界では同時に進んでいた。

但し・・・
そんな日本の法人でも、責められてしかるべき法人はある。

今回のパナマ文書(及びオフショアリークス)がらみではなくまずは過去の例。
旺文社やオリンパスや東京電力や武富士なんかのタックスヘイブン事件があった。
旺文社はダッヂサンドイッチという手法で見事なまでの税逃れを働いていたんだが・・
その法人名オウブンシャ・ホールディングというのは、今検索しても裁判関連以外一切出てこないね 旺文社のWikiにも一切出てこない。まま、旺文社はいわずと知れた教材分野企業。さらに、ソフバン孫さんのテレ朝株買占めの件でテレビ朝日の大株主だったことが知られた企業。教育分野であり、さらにマスメディア関連でありながらの、見事な税逃れは許されない。
オリンパスのタックスヘイブン利用は税逃れではなく、粉飾決算に使われた。業績が悪かったのに、そうじゃないように数値を操作するために使われた。
武富士は確かイケナいところにお金を流す方面、東電は公的資金が入ってるにもかかわらず、タックスヘイブンにお金をプールしていた。

個々に悪質なケースは今までも対処されているし、そういう流れや活動は一層追い風になってきている。だから今回露呈した部分でも今後はちゃんとしっかりやってくれるだろう。
昨日触れた読売新聞の姿勢表明を妥当とした意味は、ここまでの話しで消化できるのではないだろうか...。

そのようにいろいろな活用方法があり、一概に税逃れとはいえない。アメリカ企業のように本社丸ごと移転させて節税するような大規模なものもないし。

がしかし、今回(及びオフショアリークス)で名前が上がった企業の中には、またもや教育分野企業が..。
ベネッセは本体だけではない。東京個別指導学院もある。
創業者さんは資産をニュージーランドに移し、だけどほんとにNZに引っ越したというから.. これはまあいいのだろうけども、個別指導学院の経営者まで名前が出てきちゃった。
それ以外にも、世界と戦うグローバル企業でもなければ貿易メインでもなければ金融機関でもないところは大いに問題がある。(金融機関でも個々に精査は必要だろうけど。)
セコムは会長社長ともに解任されちゃったけどね。


いずれにしても、これはタックスヘイブン活用の、ほんの一部でしかない。
今月末の伊勢志摩サミットを経て、このような流れが拡大していくかどうかを判断していくにはちょうどいい予習の機会のようなものだ。