Clover(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「え~、これかけばけっこんできるの? けっこんしきとかしなくていいの?」


暖人は婚姻届をまじまじと見つめて言った。


「式はやってもやらなくてもどっちでもいいんだよ。 これをね、書いて。 区役所に出してくれば。 香織ちゃんは『樺沢香織』になって・・・おれと暖人の家族になれるんだよ、」


樺沢はそれに名前を書き込みながら言った。


「へええええ。 そうなんだあ、かおりちゃんも『なかま』になるんだー、」


子供らしい表現で


二人はふっと笑ってしまった。



香織も自分の名前を書き込んだ。



「香織のお父さんにもちゃんと挨拶しないとな、」



樺沢が思い出したように言うと



「あ、今日昼休みに電話しといたから。 大丈夫だよ、」


「なんて、言ってた?」


ちょっと反応が気になった。



「え? 『あ、そうか。』って。 それだけ。」



香織は笑ったが、父との電話を思い出していた。





「人の親にもなるんだから、しっかりしないとな。 樺沢くんと二人で頑張って・・、」


父は心配しながらも


優しい声で言った。



「・・・ねえ、お父さん・・」



香織は改まって声をかけた。



「ん?」



「・・・あたしが中学の頃。 お父さんに再婚の話があったのに・・あたしが反対してダメになったよね。 ずっとそのことが気になってた。 あたしが反対したせいでお父さんの幸せを邪魔して・・・」



父はしばらく間があいたあと



「ああ・・そんなこともあったなあ、」



と本当に懐かしい話をするかのように言った。



「あの時は・・みんなに香織には母親が必要だって言われて。 そのために再婚しようかって思っただけだったから。 きっとそんな気持ちで一緒になっても、うまくいかなかったかもしれない。 全ては香織が決めてくれればいいと思った。 香織が母親はいらないというのなら、それでいいと思ったから断っただけだ。」


なんでもなかったことのように言う父が


悲しくて。



「幸せなんか。 誰が決めるもんじゃない。 自分がこれでいい、と思ったらそれが幸せだ。 今、お父さんが幸せじゃないなんてことひとつもないから。 香織が幸せになってくれたら・・・おれの人生は大成功だから、」



もう


そんなこと言わないで。



香織はそれ以上言葉が出てこなくなってしまった。



「・・ありがとう・・・・。 わがままばっかり言って・・・困らせたけど・・・お父さんのおかげで・・いままで・・・・・」



昨日からどれだけ泣いたのか。





「お父さん、喜んでくれたから。」


香織はホッとしたように微笑んで、婚姻届に自分の名前を書き込んだ。



「かおりちゃんも『かばさわかおり』になるのかー。 なんかすごいねー、」


暖人を挟んで3人で書く婚姻届。


そんなことめったにあるもんじゃないけど


父に胸を張って堂々と



幸せ



って言えるから。



ようやく3人に本当の『幸せ』がやってきました・・・o(^-^)o




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