Overflow(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

二人は父が臥せっている和室に上がった。



母に手伝ってもらって半身を起こした父は


詩織の突然の訪問には驚いていなかった。



「・・・・オヤジ、あのさ、」


拓馬が切り出そうとするのを詩織は目で制して


「・・お休みされているところを・・・申し訳ございませんでした。」


礼儀正しく一礼した。


そして父の目を真っ直ぐに見て



「・・・拓馬さんを。 私に下さい。」



普通は男が女の両親にそう願いに行くところなのだが


詩織ははっきりとした口調で、そして穏やかにそう言った。



「大切に・・・させて下さい、」



額がつきそうなほど頭を垂れた。



「・・・このお仕事も辞めていただく必要はございません。 私は自分の仕事に誇りを持っている拓馬さんが好きです。 友永の家に入ってもらうことにはなりますが、拓馬さんが大切にしていることは・・ずっと守っていただきたいので。 祖母も母もきっとそう思っていると思います。」



「もう。 好きにしろと拓馬には言っただろう、」



かすれた声で父は詩織を制するように言った。



ゆっくりと顔を上げる。


いつものような厳しい表情ではなく


穏やかな優しい顔だった。



そして


ゆっくりと布団の上に正座をして



「うちはこのとおり・・・財産も何もありゃしねえ。 親として子供に何も残してやれなかった。 長男と娘は・・大学まで出してやれたけど・・・こいつだけは・・学がなくて。 生きていくためには・・手に職をつけさせてやるしかしょうがなかった・・・。 それを・・・ここまで続けてくれただけで、もう、」



父は言葉を詰まらせたあと、



「不出来な・・・息子ですが。 末永く・・・よろしくお願いします。」



身体を丸めるようにして詩織に手をついた。



拓馬は


絶対に泣くもんか、と思っていたのに


そっと目の端を指で拭ったら、涙が止まらなくなってしまった。



「・・・男のくせに。 簡単に涙を見せるんじゃないよ、」


母もそう言いながら


息子の幸せな姿を


心から喜んだ。




もっともっと


父に感謝の言葉を言いたかった。



だけど


胸がいっぱいになりすぎて


もう何も言えなかった。



そんなとき



「あけましておめでとーございまーす!!」


玄関が開く音がして元気な声が聞こえた。



母もちょこっと涙を手で拭って


「ほらほら。 うるさいのが来たよ、」


と笑って立ち上がった。




「え~~~! たーくん、結婚するのお~? すごーい! お正月って感じ~~!!」


ひなたがオーバーに驚いた。


志藤たち家族と和馬たち家族が一同に集まって


このニュースと


新年のおめでたさがいっぺんにやって来た。



父も久しぶりに起きて茶の間でみんなで食卓を囲んだ。


孫たちに囲まれて


相好を崩す父を見れることが


こんなに幸せだなんて。



拓馬はこの光景が永遠に続けばいいと


そればかりを思っていた。



詩織に頭を下げる父の姿に拓馬は胸がいっぱいになります…(ノω・、)



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