In a dream(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

20階から見下ろす風景は


高層マンションなんかに縁のない自分にはけっこう新鮮な光景で。



どんよりとした雲がどこまで続いているのか


なんて普段考えないことも考えてしまう。


東京タワーが遠くに見えて、低い雲にひっかかっているようだった。




「オヤジは。 ・・おれには大工仕事を教えることで・・・財産にしてやろうと思ったんだな。」



拓馬はクセで胸のポケットの煙草の箱に手をやったが、ここが病院だということを思い出して


それをやめた。



「お父ちゃんも・・・中卒だからね。 子供たちにはできるだけ勉強させて上の学校に入れてやりたいって思ってたと思う。 和馬とゆうこは素直で真面目だったから・・・あたしたちの言うこともきいたけどね。 あんたは小さい頃から親が言ったって自分が納得しなかったらきかなかったし。 勉強ができないのもおれに似ちまったのかなあって、お父ちゃん言ってたこともあった。 言い出したらきかないところも・・・ほんとお父ちゃんソックリで。 きっと自分の若い頃を見ているようで・・・ついあんたには強く言っちゃうこともあったんだろうけど、」



母の言うことは


もう思い当たることがありすぎて。



怒鳴られても殴られても


オヤジなんかに負けるかってずっと思ってた。



勉強なんかできなくなって


おれだってオヤジくらいにはなれるって



ほんと


バカだった・・・・



拓馬は耐え切れずに突っ伏してしまった。



実際、仕事をやってみればみるほど


父の偉大さが身にしみて。


手に職をつけるってことがどんなに大変か思い知ることばかりだった。


親があれほど勉強をしろ勉強をしろとうるさく言った意味も


今はわかる。



人間


どんな道を通っても、いつかは身を粉にして努力をしなくちゃいけないときが来る。




「詩織さんとのことを反対したのは、もちろんそんな家に入ったらあんたが苦労することが心配だったんだろうけど、それよりも・・・何とかあんたを大工で食べていけるようにしてきたことが・・全て空っぽになっちゃうみたいな気持ちになったんだろうね。 もし・・友永さんの家に入ることになったら、大工なんか続けていけないだろ。 あんたから大工の仕事取ったら、なんも残んないってお父ちゃんは思ったんだ。 そういう教育をしてこなかった自分に本当に腹立たしかったんだと思う、」



もう


やめてくれ



母に言われるまでもなく


そのことがわかってしまい胸が張り裂けそうに痛い。



まだまだ一人前にもなってないのに



おれは


ものすごい勘違いをしてしまったんじゃないだろうか。



父への思いと


自分の愚かさで


押しつぶされそうだった。



「あんたのことが心配でたまらないんだよ。」



母の一言がとどめになって


拓馬は小さく声を上げて泣いてしまった。




どんよりとしていた空から


スッと雲間ができて


陽射しが差し込んできた。



スポットライトのように街を照らした。



すべて自分のための父の厳しさだとようやくわかった拓馬は涙します・・・



人気ブログランキングへ

↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。