In a dream(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「え・・・・お父さまが、」



詩織が電話の向こうで驚いている様子が伝わってきた。



「・・あさってから入院だ。  本人には膵炎の治療だって言ってある。」



拓馬は泣きすぎて少し声が枯れていた。



「・・そんな・・・」


詩織も信じられない気持ちでいっぱいになる。



「・・オヤジが受けてる仕事もおれがすることになるから・・・。 これから少し忙しくなるかもしれない。 なかなか会えないけど、」



「そんなこと・・・どうでもいいです。 そんなことは、」



詩織はあれほど頑なに自分たちのことを反対していた拓馬の父のことを思う。



いろんな不安がたくさん渦巻いて


拓馬の思いも


拓馬の父の思いも


考えるだけで胸が張り裂けそうになる。




「・・悪い夢だったらいいのに、」



拓馬はポツリとそう言った。


駄々をこねる子供のように


現実を受け入れられない自分がイヤでどうしようもない。





「だいたいなァ、入院なんて大げさだ。」


父は何とか入院を承諾したものの、やはり不機嫌だった。



「でも。 腰が痛いのもそこからきてるらしいから。 治療しないと仕事もできなくなっちゃうよ。 ここは観念した方がいいよ。」



母はたいした役者だ。



つきそった拓馬は思った。



平然として病室の中で衣類を整えながら、父と会話をする。



病室の隅っこにぼんやり立っていると



「こいつにやらせるくらいなら、仕事なんか断ってよかったんだ、」



父はジロっとにらみつけた。



ハッとして顔を上げる。



「何言ってんの。 お父ちゃんはよくてもね。 こっちは干上がっちゃうよ。 拓馬に働いてもらわないと、」



その空気を打ち破るように


母はいつもの調子で笑った。



母は一生懸命に日常を演じている。



拓馬はふうっと息をついて


「ま。 そういうわけだから。 オヤジはゆっくり入院してろ。 この前も斉木社長にホメられたし。 これでも仕事増えてんだ。」


と笑った。



「ふん。 調子に乗るんじゃねえ、」


父はおもしろくなさそうにベッドに入った。



「・・・一生懸命やったって。 おまえは仕事より女を取ろうとしてんだ。 そんなんでどこまでできるんだか、」



背を向けたまま


ドキっとすることを言われた。



詩織とのことを言われると


もう胸の中をぐしゃぐしゃにかき回されたような気持ちになる。






どうしていいか


わからなくなる。




詩織と結婚することは父を裏切ることになるのではないかと思う拓馬でしたが・・



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