In a dream(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

安曇野の旅行から戻ってからというもの


拓馬は詩織と結婚することしか考えられなくなっていた。



しかし


彼女と結婚するということは


二人だけの問題ではない。



自分の父親でさえまだ説得できないというこの事実に苛立ちさえ覚えていた。



ある日。


拓馬は仕事を終えて、夕方に実家を訪ねた。


口も利いてくれない父になんとか話をきいてもらおうと思った。




「あれ? オヤジは?」


しかし父は不在だった。


「ああ。 今日はね。 病院。」


母は拓馬に彼の好きなほうじ茶を淹れてきた。


「病院?」


「腰が痛いって言ってただろ? あたしがいっくら言っても病院に行かないから。 ひなたに頼んで説得してもらったんだよ。 そしたら、今日行くってことになって。」


「ひなたに言われて?」


「そうそう。 やっぱり孫の言うことは聞くんだね。 ほら、加藤さんとこの整体で診てもらうことになって。 しぶしぶ行ったよ。 あたしもついてくって言ったんだけどさ、また強がっちゃって。 ひとりで行ったよ。」


母はおかしそうに笑った。


「しょうがねえなあ・・医者ぎらいで。 相変わらず。」


拓馬も笑いながらお茶を口にした。


「遅いねえ・・・。 そろそろ帰ると思うけど。」


二人で時計を見てしまった。



「で? お父ちゃんを説得しに来たの?」


戸棚からせんべいも出してきた。


「・・・んー。」


「ほんと。 言い出したらなかなかきかないからね。 お父ちゃんも、」




「・・やっぱ。 おれ・・・彼女と結婚したい。」


拓馬は母を見た。



シンとした居間に


時計の音が妙に響く。


母が嫁に来るときに持ってきたその柱時計は


時々壊れながらも


まだきちんと時を告げている。




「・・やっぱ。 彼女以外考えられないよ・・。 どうしても、どうしても彼女と一緒になりたい、」



母に自分の決意を口にした。



するとふっと母は微笑み


「あんたがそんなに一生懸命になるなんてね。 ・・・ほんと何がしたいんだか、どうしたいんだかが全然わかんなかった子なのに。 生意気ばっかり言ってたけど、自分のやりたいこともよく言わなかったくせに。 」


これまでの息子のことを思い感慨深げに言った。



「だから。 もしも向こうの家が許してくれるのなら。 ・・・婿に出して欲しいと思ってる、」



母は卓袱台を拭きながら



「・・まあ。 仕方ないよね。 こっちにとっちゃもったいない話で。 あんたは次男だし、そういうことになっても仕方ない。 それしかあの子と結婚する方法がないんなら・・・あたしはしょうがないと思う。」



やはり


息子を出すということは



『仕方ない』という言葉がついてしまうのだろうか。



拓馬は許してはくれたものの、母の気持ちを思うと胸が痛んだ。



そこに



「あ~~~、なんだか知らねえけど待たされてよ・・・」


父が帰って来た。


ハッとして振り返ると、思いっきり目が合った。



いきなり拓馬がいるのを見た父は少しぎょっとして



しかしすぐに平静を装い、無視をした。



詩織との結婚を強く願う気持ちを母に告げる拓馬。 そして父は・・・



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