Love for the future(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「おはようございます、」


詩織の母・喜和子は『千睦流』の家元として忙しい毎日を過ごしていたが


この日は休みだった。



もうすぐリフォームが終わる現場に待ち構えるように祖母の部屋の縁側に座っていた。



「・・・おはようございます、」


拓馬の父は頭の手ぬぐいを取って、立ち止って深々と頭を下げた。



「早く終わりそうですねえ。 こうして見ただけですが、本当に丁寧なお仕事をしていただいて。」



「・・いえ、」



父は喜和子から眼をそらすように、軽く会釈をして言葉少なくその場を立ち去ろうとした。



「・・・娘から聞きました。 お宅の息子さんとのこと・・・」



初めからこの話をするために今日はここで待っていた。



拓馬の父はゆっくりと振り返る。



「今度の日曜日に・・・彼がウチに来るそうです。 私と母に・・・詩織との交際のことで、」



「・・・そうですか、」



やはりそれ以上の言葉はなかった。



「お父さまが反対されていることも聞きました、」



すると拓馬の父はまた喜和子の方に向き直り



「このたびは・・・ウチのバカ息子がとんでもないことを・・・。」



また深く頭を下げた。



「もう二人とも大人ですから。 ・・それに・・・男女が惹かれあうのに理由なんかいらないでしょう。 娘の気持ちを止めることは私にもできません、」



喜和子はため息をついた。



「・・・そちらのご判断でかまいませんが、みすみす困難なことがわかっていて私は賛成はできませんから。 お宅のお嬢さんにも何一ついいことなんかない。 親ならなんとしてでも止めるべきです、」



拓馬の父はまっすぐに彼女に向いて厳しい言葉を吐いた。



「失礼いたします、」


そして立ち去った。




「いきなりスーツもってこいとかいうから・・・なにが起こっているのかと思えば、」


白川家の長男・和馬は大きなため息をついた。


「しょうがないじゃない。 この人、スーツなんか持ってないんだから。 成人式だってあんたのスーツ借りたし。」


母は暢気に言った。


「いったい。 どうなっちゃってんだよ。 そんなお嬢さんと拓馬がって。 おれ、意味わかんねーんだけど。」



詩織の家に挨拶に行くのにスーツさえない拓馬に母が気を回して和馬に連絡をしたのだが


いきなりのことに和馬は混乱していた。



「それに。 こんなきちっと挨拶に行くなんて。 まるで結婚の申し込みにいくみたいじゃん。」



その言葉に着替えていた拓馬はどきんとして振り返った。



「交際を許して欲しいって言いに行くだけなんだろ? なんなんだよ、この騒ぎは。」



『その意味』を


拓馬はもちろん承知していたのだが


言葉にするのは少し勇気がいって黙っていると



「そんなもん。 当たり前だろ。 そういう人とつきあうってんだから。 なまじっかな気持ちでつきあうなんてことしちゃダメだ。 本当に真剣な気持ちで彼女のお母さんに会うことを決めたんだから。 拓馬だってわかってるはず。」



母はすでに『ハラ』を決めていた。



単なる『交際の申し込み』にならないことを母は覚悟をしているようでした・・・




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