子供は全く空気が読めないので
ひなたは思いっきり聞いてしまった。
「えっ!!」
拓馬は思わず後ずさりしてしまった。
「こら、ひなた・・・」
志藤は何となくこの『空気』にいたたまれないものを感じていたので、少し諌めた。
「え~~、カノジョじゃないの~?」
不満そうなひなたに
拓馬は一大決心をしたように
「・・・・カノジョ・・だけど??」
声が裏返りそうになるほど緊張した。
後ろに控える詩織と
ゆうこのダンナである志藤へ
『宣言』
をしてしまった。
「へー。 やっぱりそうなんだあ。 たーくん、すごーい。 こんなきれいなひとをカノジョにして! さすがだよねー。」
おしゃべりなひなたとはうらはらにななみはずっと黙って志藤の手をぎゅっとつないで後ろに隠れていた。
「ほらほら、もうええやん。 帰るぞ。 ママ待ってるし、」
志藤はもう半ば強引にひなたの手を引っ張って
「じゃあ、また。」
ほぼ苦笑い状態で二人に手を挙げた。
拓馬もだいたい同じような表情になっていた。
「え~? 拓馬に?」
もちろんひなたは家に帰り、一部始終をゆうこに話をしてしまった。
「すんごいかわいい人だったよ。 そんで若かった!」
女の子だけあって洞察力も鋭かった。
「・・・そう、」
やっぱりね。
ゆうこはそう思っていた。
しかし。
志藤はずっと黙ったままだった。
あの彼女の雰囲気があまりに拓馬とギャップがあるようで。
話し方、お辞儀の仕方もお嬢さま感がふんだんに表れていた。
この前の真尋のコンサートに誘ったのも彼女か・・・
何となく合点がいった。
それにしても。
目が合った瞬間の拓馬の顔。
もうめっちゃ驚いて。
絶対に会いたくなかった、みたいな顔で。
別に独身なんやし、彼女おっても全然隠すことなんかないのに
『隠したい』ってオーラ、めっちゃ出して。
「どうしたんですか、黙っちゃって。」
そんな志藤にゆうこは不思議そうに言った。
「・・・ああ、なんか。 この前ゆうこと拓馬がお花の先生の展覧会に行った時にななみがその彼女と会ってるって・・」
思い出して口にした。
「えっ・・・」
その言葉にゆうこの表情は一変した。
拓馬の彼女に非常に違和感の志藤ですが・・・・
↑↑↑↑↑↑
読んで頂いてありがとうございました。
ポチっ! お願いします!
人気ブログランキングへ
携帯の方はコチラからお願いします