Dear(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

昔友達とよく行った和食が中心の居酒屋に行ってしまった。


お酒はもちろん食べ物も美味しいお店を何とか思い出して、ここなら・・と彼女を連れてきた。



少し珍しそうにキョロキョロする詩織に



「こーゆートコ。 あんま来ないでしょう、」


拓馬は先回りをして言った。



「・・・学生のころはたまに来ました。」


「へー、そうなんだ、」


「親戚からも別に美大なんか行かせなくてもいいじゃないか、と反対されたそうですが母がたくさんの美しいものを見た方がいいから、と勉強させてくれました。 すごくいい経験になりました。 お花ももちろん好きですが、陶芸も大好きだったので。」



ゆっくりと話すその口調が


もう本当にお嬢様だなあ・・・と思わせるのに十分で。



下町育ちの自分は、母をはじめ周りの女なんか黙ってろ!と言わないとどこまでも早口でベラベラとしゃべる人たちばかりだったので


彼女のたたずまい自体が新鮮だった。



「・・・年は・・いくつなの?」


思わず訊いてしまった。



「24です、」



笑顔でそう言われて、ぎょっとした。



「え???  24?」



決して老けて見えたわけでもないのだが、あまりに落ち着いていたので30近いのかなと思っていた。



「若! おれと一回り違うの?」


思いっきり素になって驚いた。



すると詩織も



「え、・・・36・・歳ですか?」


逆に驚いていた。



「なに? 見えない?」


「・・・ぜんぜん・・・・」


「って? もっと老けてると思った???」


本気でうろたえた。


すると詩織はおかしそうに笑って


「・・いいえ。 私と同じくらいだと思っていました、」


そして大真面目にそう言った。

「へ・・・・」



目がテンになるとはこういうことなのだ。



拓馬は実感した。



「びっくりです、ホント。」


口元を押さえながら笑う彼女に


何だかおかしさがこみ上げてきた。


「・・・それは・・・言い過ぎだろ~~、」


普通につっこんでしまった。



彼女との隔たりが


一気になくなった気がした。




「おばあちゃまは白川さんのことがお気に入りなんです。 いっつもあなたのことばっかり、」


詩織も緊張が解けたように楽しそうに話を始めた。


「ほんっと穏やかでいいおばあちゃんだよねー。 おれのばーちゃんは・・おれが高校の時に死んじゃったんだけど。 これがほんっとクソババアでさあ。 ボケてるフリして孫のメシまで食っちゃったりして。 寝たきりになっても、口だけは達者でさあ。」


拓馬もいつもの調子で話をしてしまった。


「でも。 ばーちゃんが死んだあとに。 孫3人にそれぞれ貯金をしてたみたいでさ。 通帳が出てきて。 なんかジーンとしちゃってさ。」


「・・そうですかあ・・」


詩織もしんみりと同調したが、


「で。 通帳、広げてみたらさ。 2800円しか入ってねーの。 10年以上もやっててさあ・・・。 もう笑っちゃって。 たまに引き出したりとかもしてんだよ。 おまえ、何のために貯金してんだって、」


その話のオチに詩織は驚いた後に、また声をあげて笑ってしまった。



間違いなく


彼女にとっても拓馬は今まで出会ってきたことがなかった男性だった。






まったく違う家庭に育った二人ですが、不思議に波長が合って・・・



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