「おまえがいなくなって飲み会が減って平和やったのにっ!!」
志藤は非常に憎々しい顔で南をにらみつけた。
「まあまあまあまあ。 たまにはこういうのもなくっちゃだし・・。 んじゃあ、斯波さん! ようこそ事業部へ!!」
もう
無理やりといっていいのだが
南はみんなを新月に集めて、斯波の歓迎会を開いてしまった。
しかし
斯波は非常に苦痛以外なにものでもないような顔をモロに出していた。
いちおう乾杯したものの、ビールに全く口をつけない。
「ぜんぜん呑んでないやん、もー。」
南は不満そうに斯波の隣に座った。
「・・酒は。 あんまり、」
斯波はボソっと言った。
「えっ! 飲めないの!? 」
南は激しく驚いた。
「うっそー! 見かけは酒5合くらいイケそうなのに!!」
「見た目と違うもんだね、」
香織も笑った。
「ねえねえ。 年いくつなの?」
南の追求はさらにつづく。
「・・・31・・・」
もうどんどん声が小さくなっていく。
「31? あたしとおんなじやん! そっかそっか~~~。 んで、どこに住んでるの?」
もう南のものすごい質問攻めに斯波が困り果てている姿が志藤たちはおかしくてたまらなかった。
「あ~~~、もう。 おれしらねー。」
焼酎のロックを呑みながら笑った。
そうこうするうちに南一人が酔っぱらってしまって、
「・・だからあ・・・。 ちょっとくらい飲みなさいって!! つきあいってもんあるやんか!」
頑なに酒を飲まない斯波にイラ立つように南は言った。
「・・・飲めないったら飲めない。」
斯波がいつものように怖い顔で言っても、南は全く気にしない。
据わった目でジーっと彼を見たあと
「・・さからったね・・・」
南も負けずに斯波につっかかった。
そして
いきなり両手で彼の頬を押さえたかと思うと
突然、キスをした。
「・・・・!!!!」
もう斯波は驚くとか
そんな次元ではない
意識が全部ふっとんでしまうほどの衝撃を覚えた。
「出た、」
泉川と香織は手を叩いて大ウケしていた。
「もー、いいかげんにせえって! いちいち濃いねん! おまえはっ!」
志藤は笑って南の後頭部にツッコミを入れた。
斯波はもうまばたきをするのを忘れるほど、魂をも抜かれてしまったかのように
固まっていた。
「だいじょぶ、だいじょぶ! みーんな被害にあってるから!」
泉川は斯波の肩を叩いた。
「南さん・・すっごいキス魔ですからね・・・。」
玉田もため息をついた。
「タマちゃんもめっちゃ被害にあってるもんね~~~、」
香織は笑った。
「そや! やっぱり洗礼は受けなアカン!!」
南は大真面目に頷いた。
南の弾けっぷりに斯波はもう圧倒されっぱなしで・・・・
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