「・・・あんま。 おもしろくないかも、」
斯波は真尋の興した譜面を見て、ボソっと言った。
「は???」
「あんまり。 きみの個性が出てないんじゃないの、」
そう言って、あっさりとそれを真尋につき返した。
「って! 聴かなくてもわかんのかよっ!」
あんまりあっさりとダメ出しされて、真尋はキレかかった。
「んなもん。 だいたいわかんだろ。 コレは別に北都マサヒロが作ったって大々的にCDなんかにしなくてもいいんじゃない?」
彼はいつでも『辛辣』だった。
「も・・もちょっと言い方ってもんがあんだろ!! いきなりダメ出しすんなっ!!!」
単純な真尋はそれだけで腹立たしかった。
「ダメ出しって言うか。 もうちょっとやれんじゃないのって意味。」
真尋を真正面から見て、妙に重厚な空気を残したままスタジオを出て行ってしまった。
「だからっ!!! このあんたのかもし出す空気が苦手なんだっつーのっ!!」
志藤はダメ出しするにしても、1つのことを100まで言わないと気がすまないタチで、ダメ出しだけで30分なんてザラなのだが、この斯波はあんまりしゃべることはないけれど、言わなすぎて真尋には理解ができずに、なんだかどうしていいかわからなかった。
「あ、斯波さん。 ちょっと、」
社に戻った斯波は香織に呼ばれた。
「はい、」
「今、エリちゃんと今度出る雑誌の概要で打ち合わせしてるの。 来てくれる?」
「あ・・はい、」
と、そのまま事業部の応接室に向かった。
そこには絵梨沙と志藤がすでにいて、テーブルで向かい合いながら打ち合わせ中だった。
「あ、忙しいところごめん。 今度、彼女『Musik』に特集組んでもらえることになってさ。 明日編集の人がインタビューで来るからその前に打ち合わせ。」
志藤は軽く説明した。
「あ、ハイ・・・」
香織が先に志藤の隣に座ったので、斯波はためらいながら絵梨沙の隣に座った。
「んで。 やっぱり桜庭とのコンサートの話も大々的に打ってもらってさ・・・」
「そうね。 見開きで6ページ組んでくれるって話だから。 けっこう盛りだくさん載せてもらえるよね、」
「スタイリストは向こうが手配すんの?」
「それも確認とっておきます、」
志藤と香織が話を進めていたが
志藤はふっと前を見ると
妙に斯波は不自然に絵梨沙と距離をとり、身体が彼女とは反対方向に若干向いていた。
「・・・どしたの?」
思わず志藤は斯波に言った。
「えっ???」
それにも異様に狼狽しながら返事をする。
絵梨沙は不思議そうに彼を覗き込んだ。
「どうか、しましたか?」
すると、ますます斯波は反対方向を向いてしまった。
「ちょっとお・・・なに意識してんのよ~~~、」
香織はおかしくなって思いっきり笑ってしまった。
「はっ?????」
斯波は見た目にもわかりやすく、顔を赤らめた。
やっぱり斯波の様子が・・ちょっとヘン???
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