Danke~ありがとう(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

絵梨沙はそこまで言われて


もう悔しくて悔しくてたまらず、大粒の涙をぽろぽろとこぼして部屋を飛び出してしまった。



・・ひどい・・


確かにあたしは


自分が弱くてピアノを放り出して逃げてしまったけど


まだ会ったばかりのあの人にあんなことを言われるなんて




ナイーブな彼女はもう心がボロボロになってしまった。





志藤と香織はずっとシクシクと泣く絵梨沙を目の前にして困り果ててしまった。



「もう・・無理です。 あたし・・・あの人と仕事、できません・・・」



そんな絵梨沙を見て香織は


「ねえ。 斯波さんにちょっと言ってあげたら? キツいって・・・」


志藤に縋るように言った。



彼はジッと腕組みをして考えていた。


そして



「あのな、」


優しく絵梨沙に語り始めた。



絵梨沙は真っ赤な目でハンカチを握り締めて志藤を見た。



「斯波の言い方は確かにきつかったかもしれへん。 でも・・・仕事やし。 エリちゃんはおれに『何でもやりたい』って言うたよな? それ言ってくれたとき・・ほんまに嬉しかった。 また気力が蘇って仕事をする気持ちになってくれたって。 覚悟もあるって思ってた、」



志藤はまっすぐに絵梨沙を見た。



「え・・」



意外な


言葉だった。



「確かに子育てしながら仕事して。 んでブランクもあって。 慣れない室内楽やし。 ほんまにたいへんやってことわかってる。 でも。 『仕事』やん、」


志藤は言葉に力を込めた。



ひょっとして


志藤が自分の味方をしてくれて


斯波から庇ってくれると思っていた。



「これでまた逃げたら。 エリちゃんはこの世界に戻れない。 気持ちを強く持って頑張らないと、この世界はやっていけない。 真尋は・・・ほんまにつらいことたくさん乗り越えてきた。 おれでも・・エライなって・・感動するくらい。 エリちゃんがこれからはもう真尋の奥さんとしてあいつをサポートするだけの存在になるっていうのなら話は別やけど、ピアノを弾いていく仕事を続けたい、と思うのなら。・・ここは堪えどきやん、」



優しいけれど


厳しい言葉だった。



絵梨沙の涙は自然に止まった。




そのあと


真尋のスタジオに直接向かった。



「あれ? もう練習終わったの?」


ピアノを弾きながらそう言われて、ドキっとした。



「・・うん、」



「絵梨沙の室内楽なんておれ以外とやるのなんて聴いた事ないから。 楽しみだな~~~。 おれも絶対に見に行くから、」


満面の笑みで言われた。



その笑顔が心に痛い。



「竜生も熱出しちゃったりしても。 おれには何もできねーけどさ。 ・・うん、ほんとは絵梨沙がもう一度ピアノを弾いてるのを見たいって思う。 ・・絵梨沙はピアノを弾いてるときが一番キレイだ、」



「真尋、」



耐え切れずに涙がポロっとこぼれおちた。



彼は


夫や父親としてはたぶん0点だ。



だけど


自分には絶対に必要な人。




弱いあたしをこうして何気ない言葉で支えてくれる・・・




志藤からも厳しくも励まされる言葉をかけられた絵梨沙は自分の甘さを思い知ります・・・



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