Danke~ありがとう(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

一方。



「え・・CD??」



突然自宅にやって来た志藤は真尋と向き合っていた。



「うん。 ・・・シェーンベルグ先生から・・おれに宛てた手紙もらってさ。 公演が終わったらCDでもDVDでも出してやってくれって。」


志藤はその手紙を真尋に見せた。



自分宛の手紙とはまた違う


まるで父親のように真尋の今後を心配するようなその内容に


かあっと胸が熱くなった。




「あの公演で。 もう充分やろって・・おれも思う。 ウイーンのレコード会社からも実は出して欲しいって話きてるし。 こっちでもおまえのことは業界でかなり評判になっているから、売るのもスムーズにいくやろ。 社長にはもう話してあるから。 あとはムーンリバー・ミュージックの専務と会って段取りつけるし、」



真尋はボソっと


「・・おれのCDなんか。 売れんのかな、」


と他人事のように言った。



「おれはそーゆー仕事してんねんで? ちょっとは信用したら?」


志藤は明るく笑った。



「先生のお墨付きやろ。 もう大丈夫や、」



また涙が出そうになって来たのを



「・・・ったく。 最初っから素直にやれって言えばいいものを。 こんなめんどくせー手つかってさあ・・」


シェーンベルグの悪口を言ってごまかした。



「定番モンとオリジナルを入れたいと思ってる。 できる?」


「オリジナル・・っておれが曲を作るの?」


「そう。 普通のクラシックCDじゃつまらんから。 おまえのオリジナリティを前面に押し出せるような。 まあ、しばらくはゆっくりって言ってたけど・・・曲つくりくらいは徐々にできるんちゃう?」



「・・けっきょく仕事かよ、」


真尋っぽい反応であったが


本音は嬉しくてたまらないという表情がありありと出ていた。




「あそーだ。 来週からな。 新しい人間、事業部に入るねん。」


帰り支度をしながら志藤は言った。


「え、新しい人?」


「うん。 『クラシックマスター』の編集長の紹介なんやけど。 その編集部にいたんやけど、今はフリーでクラシックの評論とか書いてる。 海外にもしょっちゅう行ってて・・つかまえるのたいへんやった。」


「男?」


「うん。 年は~~~、いくつやったかな。 おれより4つくらい下かな?? めっちゃ専門家やから。 おまえにも紹介するけど。」



「・・男かよ・・・。」


「なにあからさまにガッカリしてんねん、」



冗談を言いながらも志藤は真尋が少しずつ以前の彼に戻ってきたようで


嬉しかった。




絵梨沙は雑誌の仕事も順調にこなし、ピアノの仕事も声がかかるようになった。



真尋はスタジオまで行ってピアノを弾くことが多くなり、だんだんと以前の生活に戻っていきそうだった。


竜生を義母にあずけて絵梨沙も新しいことに挑戦していく自分が少し楽しくもあった。




「あ、エリちゃん。 ちょうど良かった。 紹介するわ。」


事業部を訪れた時、志藤が笑顔でやってきた。



「・・・今日から事業部に入ってもらった 斯波清四郎。」


志藤が紹介したその人は


志藤と同じくらい背が高くて、


そして何より



「・・・斯波です。 よろしく・・」


低い声で視線も合わせずボソっと言う強面に


ちょっとだけ後ずさりしてしまった。




そして事業部にやって来たのは・・・・『あの方』です( ´艸`)



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