Danke~ありがとう(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「え・・・」


思いがけないことを言われた志藤は少し驚いた。



「・・本当に。 図々しすぎると思うんですけど。 真尋に・・・・ゆっくり休んで欲しいんです。 彼がまたピアノを弾こうという気持ちになるまで。」


絵梨沙は志藤に頭を深く深く下げた。



「エリちゃん、」



「だから・・・あたしはどんな仕事でもします。 志藤さんが・・おっしゃるとおりに。 竜生はお手伝いさんやお義母さんが見て下さいますから・・・。 お願いします、」



志藤はそんな必死な彼女にふっと笑って



「・・・そんなに頭下げることないって、」


と言ってやった。



絵梨沙は静かに顔を上げた。



「エリちゃんは今でもホクトのクラシック事業部所属のタレントや。 正直。 エリちゃんがその気になってくれたのなら、それなりに仕事も入るやろし、こっちからもバンバン売り込むこともできる。」


「志藤さん・・・」


「南からウイーンで二人がどれだけ頑張ってきたかは聞いてる。 おれにも想像がつかないくらいたいへんやったろし。  いろいろあって真尋が今はピアノから離れて休みたい、というならおれも無理に仕事せえとは言わない。」



「・・あたしがピアノを弾けなくなってしまったときも真尋は本当に優しくあたしを迎えてくれました。 自分も必死だったころなのに、あたしのことを重荷に思ったりもせずに。 だから、今度はあたしが真尋を助けてあげたいんです、」




そんなに切ない顔して。



志藤は彼女が真尋のことを愛して愛してどうしようもないことが伝わってきて



いじらしかった。



「真尋は。 幸せもんやなあ、」



「え・・・」



「こんなにもエリちゃんに愛されて。」


「えっ・・・」


絵梨沙はみるみる真っ赤になってしまった。



「い・・いえ、そんな・・・」


慌てて顔に手をやった。



「うん。 いいよ。 ちょっといろいろ掛け合ってみる。 ・・ひょっとしてピアノ以外の仕事もあるかもやけども、」



と言われて、



「えっ、」


絵梨沙は驚いて真顔になってしまった。


その顔があまりに真剣だったので


「アハハ・・・そんな心配しなくても。 グラビアなんかやらせないから大丈夫、」


志藤は笑って彼女の肩をぽんと叩いて行ってしまった。




その後。


慌しく年が明けて。



絵梨沙が志藤から呼ばれて事業部に行ったのは1月の初旬のことだった。



「は・・・・主婦雑誌???」



それは意外な仕事だった。



「うん。 今度創刊される主婦雑誌なんやけど。 編集長と前に別の本で一緒に仕事したことあってさ。 エリちゃんならいいんじゃないかって。」


志藤は何事もなく言った。



「・・って・・・ピアノの仕事ではないんですか。」


絵梨沙は企画書を慌ててめくった。



「うん。 ま手始めに。 モデルの仕事って感じかな~~~。」


「モデル!?」


「今、芸能人でも子供産んでもきれーな人いっぱいいるやんかあ。 一般の主婦の人たちもそういうキレイなお母さんって憧れるみたいで。 エリちゃんはピアノの仕事でもちゃんとやってきてるし、結婚して子供産んでこれからまた自分のやりたいことをはじめてくっていう感じやんか。 編集長は女性なんやけど、エリちゃんの話したらもうぜひに出て欲しいって。 ま3ページくらいのインタビューとグラビアってトコやけど、」



「で・・・できるでしょうか。 そんなモデルなんかやったことないし、」


絵梨沙は不安丸出しで言った。



「だいじょぶ、だいじょぶ。 前にも音楽誌の取材受けたこと何度もあるやん。 それとおんなじやし、」



志藤はかる~~く笑い飛ばしたが、絵梨沙はだんだんと不安になってきた。




今度は自分が真尋の代わりに仕事をしたい、と絵梨沙なりの決心でした・・・。



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