Licht~光(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

真尋と絵梨沙は慌てて病院に駆け付けた。



病室のベッドには


たくさんの機械や、点滴などの管が付けられたシェーンベルグが横たわっていた。



「マサ・・・」



カタリナと母は涙ぐんでいた。



「もう・・・あたしたちが声をかけても全然動かないの・・・」



真尋はヨロヨロと横たわるシェーンベルグに近寄った。



そして、



「ジイさん!!! おいっ!!」



思わず彼の身体を揺さぶった。



「聴いといて終わりかよ!!! 何とか言ってくれよ!!」


真尋の悲痛な叫びに、シェーンベルグの頬がピクっと動いた。



「おじいちゃん??」


カタリナもすがりついた。



そしてうっすらと目を開けた。


手を少しだけ動かした。



カタリナの母は医師に



「な、なにか・・・言いたいんだと思います。 先生、呼吸器を少しだけはずしていただけますか?」



と、頼んだ。


医師は黙って頷いて呼吸器を外した。



「・・・聴いて・・・くれたんだろ? おれの・・『皇帝』を、」


真尋はシェーンベルグの手をぎゅっと握って彼に近づいてそう言った。



シェーンベルグは小さくゆっくりと頷いた。



何かを言いたそうに口を開けた。



「えっ・・??」



真尋は耳を近づけた。



「・・・・もっと・・・・。 きいて・・・・いたかった・・・・・。」


ほとんど息だけの声だったが


真尋にははっきりとそう聞こえた。



「・・・ありがとう・・・」



礼なんか


今まで一度も言ったことなんかなかったのに。



真尋はそう思うと、もう悔しい気持ちでいっぱいになった。



「礼なんか言うなよっ!! 礼を言わなくちゃなんないのはおれの方なのに!!  おれだって・・まだまだジイさんにピアノを・・・・」


もう取り乱すほど泣きわめいてしまった。



「真尋・・・・」


絵梨沙もそんな彼の姿を見ていられずにハンカチで顔を覆った。



「イヤだっ!!! まだ逝くな!!!」



まるで子供のわがままのように縋る真尋に


シェーンベルグは一瞬顔が緩んだ。



そして、ふうっと息をついたあと



真尋の握った手は力なくするりと抜け落ちた。



心電図の警報音が


病室に悲しく響き渡った。



シェーンベルグは最期に真尋に感謝の気持ちを口にします・・・(ノω・、)


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