Leben~命 (7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

真尋はそれで納得したわけでもなく。


動揺は隠せず、その日のレッスンは酷いものだった。


集中力が全く続かず、簡単なミスを連発した。



その度にシェーンベルグは杖を振りかざした。


背中を叩かれても真尋は何を反抗することもなく、耐えた。




絵梨沙はもう見ていられなくなって、スタジオを出てしまった。



シェーンベルグの命を賭けたこのレッスンを受け入れるだけの心の準備が真尋にはまだまだできていない。


たぶん二人ともそれはわかっている。


だけど


時間がそれをわかりあえるほど余裕があるわけでもない。





真尋はその日から全く元気がなくなった。


あんなに大食なのに、食事もあまり採らなくなり絵梨沙は心配した。



「少しでも食べなくちゃ、」


と勧めると、


「・・いいったら、いいんだ。」


苛立ったように部屋を出てしまう。



以前にもピアノに煮詰まった彼は見たことはあっても


こんなに鬼気迫る様子は初めてで、絵梨沙はどうしていいかわからなくなっていた。



家にも帰ったり帰らなかったりが続き、練習に身が入らず


シェーンベルグの逆鱗に触れるという悪循環も続いた。




よくシェーンベルグのスタジオでピアノを弾いてそのままそこで寝てしまうことが多かった。



ピアノのしたの床に直に寝ていることもあって、絵梨沙は


「ダメよ! こんなところに寝てたら・・・。 風邪ひくわ、」


と、彼を揺り起こした。



「・・もー・・いいよ。 別に、」


真尋はふてくされたように言った。



そんな彼の姿が悲しくて


「・・もー・・・。 先生がどんな気持ちで真尋にレッスンしてると思っているのよ、」


彼女の苛立ちが爆発してしまった。



真尋はのそっと起き上がって絵梨沙に振り返る。



「どんなことがあっても! コンチェルトを成功させたいって・・それだけじゃない! だから・・・無理をして・・・」


涙が零れ落ちた。



「それが迷惑なんだ!!」


真尋は大きな声を出した。



「おれなんかに・・・命預けてどーすんだ!! ちゃんと治療を受ければ・・・もっともっと長く生きられるかもしれないのに! おれがジイさんの命の限りを握ってんのかよ! そんな・・大事なこと! おれなんかに託すなよ!!公演が成功するってことは! あの人の命がなくなるってことだろ!!」



真尋の気持ちも痛いほど伝わってしまい


絵梨沙は大粒の涙を流した。


「それでも!! やらなくちゃダメなのよ! ・・・あなたしかいないって先生は思ったんだから! 先生は・・3年前にガンの手術をしたあと・・・何もかもやる気がなくなって・・・ここでお酒を飲んだりする日だけが続いて・・・。自暴自棄になっていた時に・・あなたに出会って! もう一度気力を取り戻したって・・カタリナが言ってた。 あなたは! 先生の生きる望みでもあるのよ!」



真尋の両腕を揺さぶって訴えた。



真尋はうつむいて首を振るだけだった。



そこに



「・・・ごめんなさい、」



人の気配がして振り返るとカタリナが立っていた。



真尋と絵梨沙はハッとした。



自棄になる真尋に絵梨沙は必死にシェーンベルグの思いを訴えます・・・


My sweet home ~恋のカタチ。






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