「え? 教会でライヴ?」
真尋はフランツに言った。
「うん、ちょっとどうしてもマサでって頼まれちゃって。」
「いいの? 教会でなんてさ、」
「大丈夫。 そこはいつも他の演奏家たちも演奏会を開いたりする所だから。 ただ報酬はあんまり期待できないんだ。 いいかな?」
「まあ・・・マスターの頼みならいいけど。 でもギャラが発生するなら日本に連絡しないとダメかな・・・」
と、真尋がうーんと考えるとフランツは少し慌てた様子で
「ほんと。 ボランティアみたいなもんだからさ。 ちょっと内緒でやってくんない? ね?」
ウインクして笑った。
「ウチのボスはうるせーんだよ??? ま、いっか。」
真尋は特に深く考えずにOKした。
「え? 真尋がナハト教会で演奏するの?」
絵梨沙はマリーの家で彼女からその話を聞いた。
「うん。 パパも行くって言ってたよ。 あたしも行くの。 エリサも行くでしょう?」
「・・まだその話は聞いていないけど・・・。 まあ、そういうことなら行くわ、」
「たのしみ~~~、」
マリーは少しオーバーじゃないか、というくらい喜んで絵梨沙に抱きついた。
二人は言われるがまま日曜日に教会へ向かった。
「いちおう5曲くらいって言われてるだけで、なんも詳しいこと聞いてねーんだよな~~~。 近所の人みんな来るって言うから、」
真尋は言った。
「こっちの人は音楽が好きだから。 きっと日常的にこうやって音楽を楽しんでいるのよ、」
絵梨沙も嬉しそうに彼を見た。
気楽に出かけたその先で
「これに着替えて。」
いきなりどこかのオバチャンに二人は衣装を差し出された。
真尋にはタキシード。
まあ、これは演奏用としてわかるのだが
絵梨沙には真っ白なドレス・・・・
二人は目を合わせた。
「は~~~、やられたな。」
真尋は支度をしたあと、宙を見た。
そこにビデオカメラを手にしたレオが入ってくる。
「見て! やっぱり買っちゃったよ~~。 日本製はやっぱりいいね!」
「じゃなくてさ・・・。 もうこういうサプライズはいいからさ・・・」
はしゃぐ彼と対照的に真尋は言った。
「まあまあ。 ぼくたちも二人のお祝いをしたいじゃない。 でも、ちょっとは驚きもないとね。 でも、マサにはピアノを弾いてもらうんだよ?」
「はあ???」
「これでバッチリ撮るから。 また日本のお父さんとお母さんに送ってあげなよ!」
「気も回さなくていいから、もう・・・」
と、文句を言いつつ。
「・・ど、どうかしら・・・」
絵梨沙が着替えて出てきた。
真っ白な肩を出したウエディングドレス姿はもう
美しいとしか言い様がなく。
真尋は一瞬言葉が出なかった。
みんなからのサプライズの『結婚式』となってしまいましたが・・・・
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