「真太郎。 沢藤先生のところに連絡を。 もし都合が良ければこれからすぐ行く。 おまえも一緒に来い、」
北都は真太郎にそう言って隣の部屋に行ってしまった。
「は・・はい、」
3人は妙な空気の中取り残された。
「まあまあ・・すみません。 お忙しいのに、社長自らお出ましに・・・」
真理子の大学の執務室で北都と真太郎は話をすることができた。
北都は腰掛ける前に
「このたびは。 息子が大変なご迷惑をおかけしまして。」
真理子に頭を下げた。
「いえいえ。 もうそのことは。 あたしは真尋くんのことはよーくわかっていますし、こんなことで彼を軽蔑するとかそんなことはないですから、」
真理子は恐縮してしまって彼に言った。
「しかも。 突然に入籍をするということになりまして・・・」
続けて言うと、
「それも。 もう時間の問題だと思っていましたし、彼の真剣な気持ちが伝わってきましたから。」
彼女は穏やかに言ったが、
「真尋は・・・ぼくたち家族にはひとことも入籍のことを言っていかなかったんです・・・」
真太郎は申し訳なさそうにそう言った。
「え・・・」
さすがに真理子は驚いた。
「それで・・・ご挨拶が遅れてしまって・・・。 というか、もう本人は日本にいないしで・・・」
真太郎の言葉に真理子は半分呆れたように口が開きっぱなしになったあと
いきなり笑いだした。
「・・す、すみません・・・。 ほんっとにもう・・しょうがない子、」
「いや、笑いごとではありません。 親として、全く常識のない息子に腹立たしいばかりで、」
北都は真面目にそう言った。
「結婚は本人同士だけのものではありません。 それをあいつはわかっていない、」
真面目な彼らしい言葉だった。
「こちらこそ。 絵梨沙がそちらの嫁になったというのに。 本当はきちんと挨拶をしなくてはならなかったんでしょうけど・・・。 正直、私はもう二人は一緒になると思っていましたから。 本当に自然な形になって、何の違和感も感じなくて。 確かに本人同士だけの問題ではないですが、私はそういうことにはこだわりません。 ただ、北都家のような立派な家の息子さんと戸籍を同じくすることは・・やはりこちらも軽く考えていたのかな、とも反省いたしますが、」
真理子は少し真剣になりそう言った。
「いや。 娘さんのことは。 私もなんの異存もないことでしたから。 逆に大事な娘さんをあんなバカ息子にやるなんてこと・・・その方が申し訳ないくらいで、」
北都が真剣に言えば言うほど真理子はまたおかしくなってしまって、
「全部。 彼って人ですから。 私にもかわいい『息子』ができました。 本当に嬉しいです、」
少し笑いながらそう言った。
さすが絵梨沙ママは落ち着いていて、北都家としては焦るばかりで・・・
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