「南!」
物静かな真太郎が珍しく大きな声を出して事業部にやって来た。
「え、なに?」
怪訝な顔をする彼女に
「・・・南は。 真尋とエリちゃんが入籍したこと・・知ってたの???」
いきなりの質問。
南もさすがに固まった後、
「はあ????」
思いっきり聞き返した。
「今、志藤さんから聞いて! おれ、ぜんっぜん聞いてないし!」
「あ、あたしも聞いてへんて! え、なに? いつ???」
二人のパニくる姿に
「あのう・・・・」
玉田が申し訳なさそうに割り込んできた。
「・・それ・・一昨日だと思います、」
「はあ???」
「ぼく・・なんかよくわかんないけど、証人のところにサインをさせられて・・・・」
その話に二人は顔を見合わせた。
「ま、まさか! 南さんたちご家族が知らないとか! 思いもしなかったし!!」
玉田は自分がとんでもないことをしてしまったんじゃないか、と怖くなって後ずさりをしてしまった。
真太郎はガクっとデスクに手をつき、頭をうなだれ
「・・あ~~~、意味分かんない・・・。 ほんっと意味わかんない・・・」
その言葉を繰り返すだけであった・・・。
「はあ?」
もちろん父親である北都も同じリアクションだった。
志藤は彼の目の前にやってきて、
やっぱり・・・
と、目を閉じて宙を仰いだ。
まさか。
社長にも言っていなかったとは・・・・。
思いつきというか
常識外れというか。
おれに言う前にとりあえず親だろ!!
「・・い、いちおう・・・沢藤先生には承諾を得たらしいんですけども、」
志藤は遠慮がちにそう言ったあと、
「や! ほんまに! まさか・・・社長にも言うてへんとか! 全く思ってなくてですね! もちろんそんなこと最初に言うてるって思いこんで疑いませんでしたから! 証人の欄にサインをしてくれ、と言われておれもわけわかんなかったんですけど! ・・・もうなんっか・・・・」
聞かれてもいないのにどんどん言い訳をしてしまった。
「まったく・・・。 ほんっと何考えてんのか、」
真太郎はさらにため息をついた。
「まあ・・でも。 真尋的に責任を取ったってことやないでしょうか・・・・。 エリちゃんから帰り際電話貰って、挨拶にも行かないでとかなんとか言うてたんは、このことやったんか・・・。 彼女も真尋が社長にも言うてへんとは夢にも思ってなかったと思いますけど、」
南は少しだけ真尋を庇った。
北都は怖い顔のままだった。
「・・・親に言わないのはどうかとも思いますけど・・・。 もうあたしたちの家族やって思ってましたから、エリちゃんは。 正式な形をとっていなかっただけで、実質あの二人は夫婦同然やったし。 同じ家におっても全く違和感なく、お義母さんも完全にエリちゃんのことは娘同様に接していて・・・」
あまりの恐い顔に南はもうどうしていいかわからず、ひとりしゃべってしまった。
そして、御大はいきなり立ち上がった。
恐ろしい『御大』のリアクションにみんなビビっております・・
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