そして二人は翌朝早く事業部にやって来た。
「・・・ったく。 その頭も意味わからへんねん!」
志藤は真尋を一瞥して機嫌悪そうにタバコを吸った。
「・・特に、意味はないけど。」
反発するように言う真尋に絵梨沙はたしなめるように彼を小突いた。
「あっと・・・。 このたびはいろいろごめいわくをかけてすみませんでした・・・こんごはこういうことのないように、せいかつをただしてゆきます・・・」
明らかに絵梨沙からこのように言うようにと詰め込められたような棒読みのセリフでそう言った。
「えーっと。 それで。 ご心配をかけましたが。 このたび。 おれたち結婚をしようってことになって、」
それには志藤はゆっくりと彼らに視線を移した。
「もう。 絵梨沙ママにも報告済みです。 もうこれからは結婚ってケジメをつけて絵梨沙と一緒にいようと思う。 んで。 これをお願いします。」
真尋は殊勝な言葉を吐いたあと、婚姻届の証人の欄を指差した。
「・・・・・はあ???」
この急展開に志藤は頭がついていかなかった。
しかも
くっしゃくしゃのこの婚姻届・・・・
「すみません・・・。 よろしくお願いします、」
絵梨沙も志藤に頭を下げた。
「って・・・え~~??? なんやねん、それは・・・・」
「今日。 籍を入れようと思います、」
絵梨沙の言葉にさらに驚いた。
志藤は頭を抱えるようにして
「・・・なんかようわからへんのやけども・・・・」
絞り出すような声で言った。
志藤の心中としては。
なんでついこの前まで、こいつが浮気という大罪を犯して
愛しい愛しいエリちゃんを泣かせたくせに
一転して結婚って・・・・
どーゆーことやねん!!!
声が大になるほどの複雑な心境であった。
そして出た言葉が
「・・ほんまに・・ええんか???」
絵梨沙に心から問いてしまった。
彼女はその言葉に少し驚きつつ
「・・ハイ、」
しっかりと頷いた。
何も迷いがない
透き通るような美しい瞳で彼女は志藤を見つめた。
この怒濤の展開に志藤はパニくります・・・
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