「もうエリちゃん、真尋と別れるってばっかりで・・・。 何を言うてもアカンねん、」
南はため息をついて真太郎に言った。
「そりゃそーだろ・・・。 信じてたのにあっさり裏切られて、」
真太郎はまだ憤慨していた。
「ねえ。真尋も詳しい話してくれへんからようわからへんねん。 なんか理由があるんちゃうかな、」
「浮気に理由なんかないよ。 事実に変わりない、」
「真太郎は真面目やから。 ねえ、真尋の友達のとこ行ってみない?」
「はあ??」
南からの思わぬ提案に真太郎は首をかしげた。
「・・・マークも。 1度だけあたしを裏切ったことがあったわ、」
真理子はアイスコーヒーを飲みながら、頬杖をついて言った。
「えっ!!! 先生が!?」
真尋はその意外すぎる話にびっくりした。
「あの真面目な人が。 結婚して・・・2年くらいしたころかしら。 助手の女性に誘惑されちゃって。 演奏旅行に行ったときに・・・・。 ほんっとその女がしつこくて。 あたしに彼と別れて欲しいとかそんなことまで電話してくるし、」
あの
真面目な紳士の先生が・・・
真尋は逆にショックを受けた。
「ま。 間違っちゃっただけなんだけど。 彼もその人のこと全然愛してたわけじゃないし。 その人を辞めさせて二度と会わないって約束させて・・収まったけど。 もう、あの人もあたしに泣きながら謝ったのよ、」
真理子は昔の思い出のひとつのように笑って話をした。
「そのときね。 ああ、男ってしょうがないなって思ったの。 女と違って単純で素直すぎて。 あたしは彼よりも10も年下だったけど、少なくとも彼よりも現実的だったし、精神的に大人だったのかなって。 あ、このことは絵梨沙には内緒ね。 あの子、ファザコンの気があるから。 またショックを受けちゃう。」
真理子は軽くそう言った。
「・・・おれが。 バカだったとしか言い様がないから。 久しぶりに昔の友達に会って。 羽伸ばしすぎちゃって・・・」
「あなたも。 ウイーンで大変な思いをして頑張ってきている。 まあ、浮気はダメだけど・・・。 1度くらいの間違いであなたという人を私は全て否定しない。 ・・・絵梨沙がピアノを弾けるようになったビデオを送ってくれたでしょう? ・・あたしは、その時真尋くんの絵梨沙への愛情もわかったし、本当に優しい子だなって思ったから。 あなたたちはね、もう離れられないと思う。 どんなことがあっても。 あたしから何を言ってもたぶん聞かないだろうから。 あとはあなたの頑張りね。」
真理子の言葉は
涙が出るほど嬉しかった。
南と真太郎は会社帰りに例の結婚式を挙げた真尋の友人を渋谷のバーまで訪ねた。
「あ、真尋のおにーちゃん。 こんちわ、」
彼はここでバーテンをしていて、昔は何度か家に遊びに来て泊まったりしたこともあり、真太郎とは顔なじみだった。
「あ、彼のヨメです。 初めまして。」
南もいつものように人懐っこく挨拶をした。
「真尋、大変なことになっちゃいましたね。 おれもびっくり、」
彼もいきなりその話を切り出した。
「ね、ちょっと詳しく教えてくれない? あの日のこと、」
南は早速彼に深く追求をし始めた。
「沙希ちゃんはウチのヨメの昔からのモデル仲間で。 二次会から来てもらって・・・・。 こう言っちゃなんだけど、彼女初めっからもう、真尋のことタイプだとか言ってべったりで。」
彼は笑った。
「清純派モデルとして売ってるけど、すんごい肉食らしいよ、」
そしておかしそうにそう言った。
南と真太郎は顔を見合わせた。
真理子からは責められなかった真尋は逆に自分のしでかしたことの罪を思い知ります・・・
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