「エリちゃん、まだ仕事ができるってトコまではいってへんのやろなあ、」
南は真尋が志藤あてに送ってきたビデオを見て、ため息をつきながら言った。
「まあ。 エリちゃんがもしピアノじゃなくても仕事したいって言うなら。 彼女ならきっといい話もあるやろし。 でも、こっちから言うのも、まだ・・・」
志藤は歯切れが悪く言った。
「契約打ち切り、とかそんなことにはなるの?」
南は心配そうに言った。
「彼女はまだCDやDVDも売れてるし。 今まで仕事してくれた分、今はゆっくりさせてやりたいねん。 ウチにも貢献してくれてるし、」
志藤は煙草に火をつけた。
「・・結婚とか。 考えてへんのやろか。 だってもう実質的に夫婦同然やん、」
南はさらに遠い異国の二人に思いをはせた。、
「そればっかりは。 本人たち次第やろ、」
ため息と一緒に煙を吐き出した。
「え、日本に?」
絵梨沙は真尋を見た。
「たまにはさ。 ママのところ帰ってあげたら? まあ、フェルナンド先生も心配してると思うけど。 やっぱりママは特別じゃん? うちのオフクロだってさあ、すんげえくだらねーことで電話してくっし。 『ねえねえ、犬かカメ飼おうと思うんだけど、どっちがいいと思う?』なんて、わざわざ国際電話で聞いてくんだぜ。 その選択肢もわかんねーし、なんでおれに聞くのかもよくわかんねーっつーのに、」
真尋の話にプッと吹き出してしまった。
「マリーんトコはしばらくばあちゃんが来てくれるんだろ?」
「・・うん、1ヶ月くらいはって、」
「おれも。 再来週からひさびさ日本で仕事だし。 おれの仕事が終わったら一緒に帰ろう。」
絵梨沙は真尋の気持ちが嬉しくて、ウンと頷いた。
とりあえず。
落ち着きを取り戻した二人であったが。
この帰国がとんでもないことになってしまうとは
この時は全く持って思わなかった・・・・。
「つまんないな~~~エリサがいないなんて~~。」
マリーは学校の帰りに普通に真尋宅を勝手に訪ねるようになってしまった。
「ばあちゃんが泊まりで来てくれてんだろ? 早く帰ってやれよ~~、」
真尋は面倒くさそうにピアノを弾きながら彼女に言った。
「あたしも日本に行ってみたいな~~~。 ねえ、楽しい??」
マリーは真尋に飛びつくように言った。
「楽しいって言われると・・・・。 まあ、おれらがいるとこは東京っつってスゲー都会だから。 なんでもあるしな。 うん、日本ほど何でもあるとこねーかも。 遊ぶトコもたくさんあるし。 友達もいっぱいいるしな~。」
「へ~~。 いいな~。」
「おれも今度日本で仕事だから。 なんか土産買ってきてやろっか?」
「エリサにお洋服を頼んだから。 マサが選んじゃダメだよ?」
「アハハ、よし、おれが選んでやる。 スゲーの買ってくるからな!」
真尋はおかしそうに笑った。
落ち着いた絵梨沙は日本へ帰ります。 そこでちょっとした事件が・・・・・??
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