マリーのピアノのレッスンの教室までつきそった。
ピアノ講師が自分に気づき気を遣うといけないと思い、ずっと外で待っていた。
時々そっと中をのぞく。
一生懸命
真剣なまなざしで手を動かして。
『絵梨沙。 よくできたじゃない。 むずかしいところなのに頑張ったわね、』
『すごいなあ、絵梨沙は。 きっとパパよりすごいピアニストになるよ、』
マリーよりももっともっと小さいころからピアノの前に座っていた。
自分の記憶がないくらい、もうピアノがある生活が日常で
それが当たり前だった。
パパもママも自分がピアノを上手に弾くと、よろこんでくれて。
自分が好きだった、というよりも
あまり一緒に居る時間がなかった両親にそろって喜んでもらいたいがために弾いていたのかもしれない。
自分にとってピアノだけが
自分という人間を表せる全てで。
マリーのたどたどしいピアノの音がすごく懐かしかった。
「あ~あ、今日、うまく弾けなかったな~~~。」
家の近くの公園の中を通って手をつないで帰った。
「そんなことないわよ。 練習すれば絶対にできるようになるから。 諦めないで。」
絵梨沙はにっこり笑った。
「ねえ、チーズケーキを買って行こうよ。 一緒に食べよう、」
「うん。」
そこに
「マリー!」
声がして振り返った。
「パパ!」
レオが手を振っていた。
「今日は早いの~?」
マリーが走って行った。
「うん。 今日は早く終わったから。 今帰ろうと思っていたところだよ、」
彼女を抱きとめて笑った。
「じゃあ、今日はパパとお夕飯ね。 あたしはここで。」
絵梨沙は後から歩いてやってきてマリーの頭を撫でた。
「えー! エリサも一緒に食べようよ! パパのお料理もおいしいんだから!」
「こらこら。 無理を言っちゃいけないよ、」
「え~~~~、今日も絵梨沙とお洋服の話をしたかったのに・・・・」
「今日、これから何か予定はありますか、」
レオが絵梨沙に聞いてきた。
「いいえ・・今日は・・・。 特に。」
真尋が戻るのは明日の予定だった。
「今日はぼくが食事を作ろうと思っていたところです。 一緒にどうですか?」
レオはにっこり笑った。
すっかりレオ父娘に溶け込んだ絵梨沙でしたが・・・
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