Lebe für Liebe~愛に生きる(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

真尋が登場した。



絵梨沙とシェーンベルグはもちろん


志藤と南もやってきていた。



ペコンと一礼してから真尋はイスに腰掛けた。



曲目は


ベートーヴェンピアノソナタ14番


『月光』




真尋は以前からベートーヴェンを得意としていた。


章のメリハリ、曲調。



全てが彼にハマっている気がした。



志藤はアゴに手を当てて、若干緊張気味に彼のピアノを聴いた。




静かに始まる第1楽章。



その音色の美しさに観客たちは心奪われる。



シェーンベルグによって『改造』された真尋のその音は


優しさの中にも主張する強さがあって。



つづく第2楽章も、穏やかで温かく。



絵梨沙は思わず胸の前で両手を組んでしまった。



そして



激しく熱い第3楽章に突入する



「すごい・・・」



南は思わず声にした。



志藤も微動だにせず真尋のピアノの音に呑み込まれていった。





こいつ。


こんなんやったか?




決してうまいという印象がなかった真尋が


今、かなりのレベルとも思える演奏をしている。




完璧な演奏で『月光』を弾き終えると、つづいて



ショパンの『バラード1番』を弾き始めた。




絵梨沙はもう全身に鳥肌が立つ思いだった。



両手を口に充てて、溢れそうな感情を抑えるのに必死だった。




真尋のその音は会場全体を『異様』な空気に包み込んだ。



彼は今まで大きなコンクールに出たこともなく、シモンとのNYの競演で少し話題になったものの


そのくらいの経歴しか持っていなかった。


いまだ、彼を知る人は少なく


その彼のピアノがこんなにも衝撃的であることが、この空気になっているようだった。




演奏を終えた後、拍手と歓声がが爆発したような気がした。



しかし


シェーンベルグは冷静に座って、


「細かいミスがいくつかあったなあ、」


ボソっとつぶやいた。



「でも・・・。 そんなの気にならないくらいの勢いがあって・・・」


絵梨沙は震える声で言った。



「ま。 ごまかしも、『決勝』ではきかないからな。」


また


彼は結果を聞かずに席を立った。



もう


聞かずともわかっている、といわんばかりに。




巨匠は自信満々です。そのくらい真尋のピアノは素晴らしく・・・


 

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